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【ネタバレ】「オビ=ワン・ケノービ」初回2話レビュー&解説 『シスの復讐』から10年後の世界とは

 『スター・ウォーズ』の新作ドラマシリーズ「オビ=ワン・ケノービ」の配信がディズニープラスでスタート。『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』で生まれたばかりのルーク・スカイウォーカーを惑星タトゥイーンに届けた後、オビ=ワンはどのような生活を送っていたのか。第1話と第2話には、初めて見る光景と過去を思い出させる情景が詰まっている。(文・平沢薫)

※この記事は「オビ=ワン・ケノービ」のネタバレを含みます。第1話と第2話の視聴後にお読みいただくことをおすすめします。

『シスの復讐』から10年後…失意のオビ=ワン

 オビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)は、広大な砂漠の真ん中で地面を掘り、とある箱を取り出す。蓋を開けると、そこに入っているのはライトセーバー。そう、本作は、失意のどん底に沈んだ男が、かつて自分が埋めた希望を取り戻す物語なのだ。このシーンから、全6話を監督したデボラ・チョウの、今『スター・ウォーズ』を描くなら希望の物語を描くべきだという信念が伝わってくる。

 ここで、ライトセーバーが剥き出しではなく、破損しないよう布と箱で保護されているところに、オビ=ワンの真意が見て取れる。彼は、本作で出会ったジェダイにはセーバーを砂漠に埋めて人々と同じ暮らしをするよう助言するが、彼自身は心の底ではこれを捨てていない。いつかこれを取り出す日が来ると信じている者でなければ、こういう埋め方はしないだろう。

 その箱の中にはセーバーが2本。1本はオビ=ワン、もう1本はアナキン・スカイウォーカー(ヘイデン・クリステンセン)のものだ。これを見るだけで、オビ=ワンがEP3でアナキンとの死闘後にこれを拾い上げたこと、『スター・ウォーズ/新たなる希望』(EP4)でルーク(マーク・ハミル)に渡されたこと、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(EP9)ではレイ(デイジー・リドリー)がセーバーを砂漠に埋めたこと、そんなシーンが次々に思い浮かんでさらに胸が熱くなる。このように、本作には過去の出来事を連想させ、より感動を深めてくれるシーンが何度も登場する。

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 中でも感慨深いのは、本作で初めて描かれる10歳のルークとレイアの姿。まず、ルークは空想上のスピーダーを運転して遊ぶ姿から、アナキンの名パイロットぶりを連想させる。さらに、本編にはおもちゃのスピーダーT-16スカイホッパーが登場。ルークのスピーダー遊びを見たオビ=ワンが、このおもちゃをそっと家の外に置くが、彼を育てるオーウェン・ラーズ(ジョエル・エガートン)がそれを返却する。しかし、このおもちゃはEP4でルークが、購入したR2-D2を整備した場所で遊んでいたものと同型。同作でのルークの発言「僕は故郷でT-16を飛ばしてウォンプ・ラットを仕留めたよ」にも登場したあのT-16だ。オビ=ワンは今後、このおもちゃを再びルークに贈るのだろうかと気になって仕方がない。

 そして、10歳のレイアの性格は、旧三部作で描かれた気の強いレイア(キャリー・フィッシャー)そっくり。オビ=ワンも彼女に振り回されて「君は知人に似ている。大胆で強情だ」とレイアの母パドメ・アミダラ(ナタリー・ポートマン)を思い出す。また、後に成長したレイアがEP4でオビ=ワンに「あなたが頼りです」と絶大な信頼を寄せるのは、10歳の頃の体験があったからなのかとも思わせる。

 このレイアが、宇宙船を見るのが好きという設定も魅力的だ。そのうえ、彼女が宇宙船を見て言う「アクイリアン・レンジャー、海賊を探しているのかな」には珍しいリンクが2つも。アクイリアン・レンジャーは、ジョージ・ルーカスがEP4の初期脚本に書いたが本編には登場しないもので、日本語字幕には「海賊」としか出ない Merson pirates は1970年代の「スター・ウォーズ」コミックに登場する。

 ちなみに、ルークを演じるのはドラマ「CREEPSHOW/クリープショー」の新鋭グラント・フィーリー。レイア役は、サンドラ・ブロック主演の映画『バード・ボックス』や、ジョセフ・ゴードン=レヴィット主演ドラマ「Mr.コーマン」のヴィヴィアン・ライラ・ブレア。10歳のレイアの大人っぷりはキュートだ。

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レッチリのメンバーも!豪華なゲスト出演

 二人のシーン以外でも、レイアを育てるベイル・オーガナ(ジミー・スミッツ)夫妻が、レイアを誘拐されてオビ=ワンに助けを求めるホログラム映像は、EP4でレイアがオビ=ワンに助けを求める映像を思い出させる。また、オビ=ワンがオーウェンにルークを訓練したいと言うと、「父親のように?」と拒否し、その一方で尋問官に殺されそうになってもオビ=ワンの居場所を隠すのを見ると、彼がEP4でルークの士官学校入学を延期させた場面を連想させ、本当にルークを大切に思っていたからなのだと痛感させられる。

 一方で、初めて見る光景や初登場のキャラクターも続々。レイアが育った惑星オルデランはEP4で破壊されてしまったので、この星の水と緑の豊かな自然が本格的に描かれるのは、今回が初めて。オビ=ワンが働く肉処理工場など、タトゥイーンにもまだ見ぬ光景が山ほどありそうだ。また『ブレードランナー』風の惑星ダイユーは、これまで言及されたことがない全く新しい惑星である。

 そのほか、ゲスト出演の俳優陣も豪華な顔ぶれ。尋問官に追われるジェダイ・ナリ役は『アンカット・ダイヤモンド』の監督であり、『リコリス・ピザ』など俳優としても活動中のベニー・サフディ。ジェダイに成りすまして商売をするハジャは、『エターナルズ』のクメイル・ナンジアニが演じた。さらに、人気バンド「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」のベーシスト・フリーがレイアを誘拐する犯罪者ヴェクトを演じている

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あの人は誰?『スター・ウォーズ』関連作とのつながり

 そして、やはり他の『スター・ウォーズ』作品につながる小ネタも大量。オビ=ワンが惑星ダイユーの通りで小銭を与える老兵士を演じているのは、「マンダロリアン」「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」でボバ・フェットを演じたテムエラ・モリソン。彼は『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』でクローン兵士に遺伝子を提供したジャンゴ・フェットも演じているので、兵士が彼の顔をしているのは納得。彼の軍服が、クローン戦争でアナキンが率いた501軍団のものであることも切ない。

 ドロイドでは、レイアの父母が開くパーティ会場には、この時はオーガナ家が所有しているC-3PO、R2-D2の姿も。ダイユーでオビ=ワンを追う賞金稼ぎの中には、EP5でダース・ベイダーが雇った元プロトコル・ドロイドの賞金稼ぎ4-LOMと同じLOMシリーズ型のドロイドがいる。

 生き物関連では、EP1で初登場したイオピー(オビ=ワンが乗るラクダのような生き物)がドラマに登場。砂漠に生息するネズミのようなスカリアーは、EP4の特別篇に登場していた。レイアが従兄弟に謝るよりもこの生き物に食べられる方がましだと言うジャコビーストは、EP9に毛皮だけ登場し、同作の関連書籍「ビジュアル・ディクショナリー」に全身が描かれている。また、ベイルが子供の頃はこの生物を追う人生を送りたかったと言うパーギルは、アニメ「スター・ウォーズ 反乱者たち」に登場した、星から星へと移動する巨大なクジラのような生物のこと。他にも、酒場や雑踏には新旧さまざまなエイリアンが姿を見せており、数え上げるとキリがない。

 今後の展開で注目なのが、尋問官レヴァことサード・シスター(モーゼス・イングラム)の物語。彼女が執拗にオビ=ワンを狙うのはなぜなのか。その謎が明かされていくのも楽しみである。そして、2話連続配信である意味を痛感させられた第2話のラスト。サード・シスターからアナキンがダース・ベイダーとして生きていると知らされ、動揺するオビ=ワンと、彼を睨みつけるかのような強い眼光を放つベイダーだ。

 ベイダーが入っているタンクは、身体の損傷を治癒させる装置バクタ・タンクだろう。ルークが『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(EP5)でワンパに襲われた後に使い、「ボバ・フェット」でボバが使っているあのタンクだ。ベイダーは怪我から10年を経た今も治療中なのだろうか。そして、オビ=ワンがアナキンの生存に気づかなかったのは、ジェダイであることを隠すため、フォースを封印していたからなのだろうか。だが今、二人はお互いの生存を知った。彼らはこれからどう動くのか。二人のドラマはこれからが本番となりそうだ。

「オビ=ワン・ケノービ」初回2話はディズニープラス独占配信中(3話以降は毎週水曜日16時追加)

(C)2022 Lucasfilm Ltd.

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