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アカデミー賞助演女優賞はベテラン、中堅、新鋭が三つ巴状態!

第95回アカデミー賞

 助演女優賞は混戦状態で、誰が受賞してもおかしくないほどの熱演ぶりが、それぞれの作品で際立っている。ジェンダー平等や多様性を重視する昨今のアカデミーの状況からも、マイノリティーに目を向ける姿勢も窺える。女王の貫禄たっぷりのアンジェラ・バセット、自然体の演技が光るホン・チャウ、チャーミングなケリー・コンドン。ベテランのジェイミー・リー・カーティスと、今後が期待されるステファニー・スーは共に『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で助演女優賞にノミネートされた。ここから誰が一歩抜きん出るのか。(文・平野敦子)

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アンジェラ・バセット『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』

アンジェラ・バセット
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』より (C) 2023 MARVEL ディズニープラスで配信中

 第91回アカデミー賞で作品賞を含む7部門にノミネートされ、3部門で受賞を果たした『ブラックパンサー』の続編。国王であるブラックパンサーことティ・チャラ亡き後、国を率いることになるラモンダ女王を今回も演じたアンジェラ・バセットが、『TINA ティナ』に続き、第80回ゴールデン・グローブ賞を獲得。前作でティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンが急逝したことを受け、現実と同時進行するように劇中でも人々が悲しみに暮れる中、凜とした態度で先の世界を示したラモンダ女王の存在感は大きい。ベテラン女優のオスカー初受賞なるか?

アンジェラ・バセット
1958年8月16日生まれ
アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク出身
主な出演作
『アザーフッド 私の人生』(2019)
『ブラックパンサー』(2018)
ため息つかせて』(1995)
『TINA ティナ』(1993)
マルコムX』(1992)

ホン・チャウ『ザ・ホエール』

ホン・チャウ
『ザ・ホエール』より (C) 2022 Palouse Rights LLC. All Rights Reserved.

 『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキーが監督を務め、劇作家サミュエル・D・ハンターによる舞台劇を映画化。同性の恋人と暮らすために家族を捨てた男が死を目前に、疎遠になっていた娘との絆を取り戻そうとする。主人公チャーリーの世話をする看護師・リズを演じたホン・チャウはくたびれた様子で、「死」と向き合う日々のリアルを見事に体現した。『インヒアレント・ヴァイス』で長編映画に初出演し、『ダウンサイズ』で第75回ゴールデン・グローブ賞助演女優賞にノミネートされるという快挙を成し遂げた彼女が、オスカー初ノミネートで初受賞を狙う。

ホン・チャウ
1979年6月25日生まれ
タイ出身
主な出演作
ザ・メニュー』(2022)
アルテミスと妖精の身代金』(2019)
『ダウンサイズ』(2017)
『インヒアレント・ヴァイス』(2014)

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ケリー・コンドン『イニシェリン島の精霊』

ケリー・コンドン
『イニシェリン島の精霊』より (C) 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 『スリー・ビルボード』などのマーティン・マクドナー監督が、1920年代のアイルランドの孤島を舞台に描く人間ドラマ。突然友人に絶縁を宣告された兄パードリックが途方に暮れる中、無邪気すぎる兄にも、小さな島での退屈な日常にも嫌気がさし、変化を望む勇気ある妹シボーンを軽やかに演じたケリー・コンドン。1999年に『アンジェラの灰』でスクリーンデビューを飾り、『ケリー・ザ・ギャング』などに出演後、ドラマシリーズ「ROME [ローマ]」での体当たりの演技が高く評価される。今まで大きな賞とは無縁の演技派女優が、賞レースに挑む。

ケリー・コンドン
1983年1月4日生まれ
アイルランド・ティペラリー県出身
主な出演作
ドリームランド』(2019)
『スリー・ビルボード』(2017)
きっと ここが帰る場所』(2011)
『ランウェイ』(2010)

ジェイミー・リー・カーティス『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

ジェイミー・リー・カーティス
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』より (C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 『ムーンライト』『ミナリ』などのA24が製作を担当し、『スイス・アーミー・マン』などのダニエル・クワンダニエル・シャイナートが監督を務めるマルチバース・コメディー。主演のミシェル・ヨーをはじめ、キー・ホイ・クァンらアジア系のキャストが大半を占める中、国税庁監査官を堂々と演じたジェイミー・リー・カーティス。野暮ったいルックスとプヨプヨのお腹でリアルな役人に成り切り、ワイヤーアクションにも挑戦して新境地を開拓した。スクリーンデビュー作『ハロウィン』で注目されて以来、さまざまなジャンルでキャリアを積んできた彼女が、得意のコメディー作品で勝負に出る。

ジェイミー・リー・カーティス
1958年11月22日生まれ
アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身
主な出演作
ハロウィン KILLS』(2021)
トゥルーライズ』(1994)
大逆転』(1983)
『ハロウィン』(1978)

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ステファニー・スー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

ステファニー・スー
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』より (C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

 ミシェル・ヨー主演のマルチバース・コメディーで、主人公・エヴリンの娘・ジョイを演じたステファニー・スー。移民1世の母エヴリンと対立する移民2世の娘ジョイの葛藤を演じ切ると同時に、アクションだけでなくコメディエンヌとしての才能も見せつけた。ドラマやブロードウェイの舞台で演技力を培い、マーベル作品『シャン・チー/テン・リングスの伝説』などに出演。今回作品賞、監督賞などをはじめとする最多10部門11ノミネートされた本作で、大先輩のミシェル・ヨー、ジェイミー・リー・カーティスと共にトリプル受賞を果たす可能性もある。

ステファニー・スー
1990年11月25日生まれ
アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身
主な出演作
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)
『アスキング・フォー・イット(原題) / Asking for It』(2020)
『セットアップ:ウソつきは恋のはじまり』(2018)

第95回アカデミー賞授賞式は、3月13日(月)午前7時30分よりWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドにて生中継

作品賞 監督賞 主演男優賞 主演女優賞 助演男優賞 助演女優賞 全ノミネート一覧

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