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『怪物』『リトル・マーメイド』など6月公開映画の評価は?

今月の5つ星

 先月開催の第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した是枝裕和監督×脚本家・坂元裕二のタッグ作から、名作ディズニーアニメーションの実写版、AI搭載アンドロイドの暴走を描くスリラー、オスカーに輝いたスパイダーマンアニメーションの続編、話題のDC映画まで、見逃し厳禁の作品をピックアップ。これが6月の5つ星映画だ!【6/7更新】

是枝裕和×坂元裕二の絶妙なバランス!

怪物』6月2日公開

 『万引き家族』でカンヌ国際映画祭最高賞パルムドールを獲得した是枝裕和監督と『花束みたいな恋をした』の脚本、坂元裕二がタッグを組んだヒューマンドラマ。大きな湖のある郊外の町に住む二人の小学生を軸に、シングルマザー、担任の教師など二人を取り巻く大人たちを含む登場人物それぞれの視点で「ある出来事」が映し出される。今年3月に亡くなった坂本龍一さんが音楽を担当している。

 是枝監督が自身の映画で脚本を担当しないのは長編デビュー作『幻の光』(1995)以来。複数章で構成される脚本は巧みな伏線が張られ、観客を引き込む。そして、是枝作品の特徴の一つである子役たちの名演に脚本が見事にブレンドされ、切なくも重厚なストーリーに心が揺さぶられる。確固たる世界観を持つ二人のコラボが生み出した是枝×坂元の化学反応にただただ圧倒される。(編集部・海江田宗)

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ハリー・ベイリーのハマりっぷりに納得

リトル・マーメイド』6月9日公開

 ディズニーのアニメーション映画を実写化した『リトル・マーメイド』は、ミュージカル映画の巨匠ロブ・マーシャルとアニメ版の音楽を手掛けた作曲家アラン・メンケンがタッグを組み、アニメ版のイメージそのままのミュージカル映画に仕上がっている。

 オリジナルの名シーンが完全再現されているのはもちろん、それぞれのキャラクターの心情をより深く表現したり、新たな解釈を追加したりと見応え十分。“なりたい自分”を追い求めるというテーマ性も、今あえて実写化する意義の答えのようで興味深い。また、アリエルを演じたハリー・ベイリーの存在感は際立っており、響き渡る歌声はまさにアリエルそのもの。その絶対的なオーラと人を魅了するパフォーマンスを見れば、ハリー以外のアリエルはありえないということが一目瞭然だ。心の感じるままに自分の道を突き進むアリエルを体現したハリーが、新時代のアイコンになることは間違いない。(編集部・香取亜希)

“不気味の谷”を力技で突破する新世代ホラーアイコン誕生!

M3GAN/ミーガン』6月9日公開

 子供の良き友達として作られたAI搭載アンドロイドの暴走を描くスリラーは、恐怖と笑いが絶妙にブレンドされた、娯楽映画のお手本だ。まず何より、AI人形ミーガンの顔がいい。可愛くもあり、恐ろしくもあるデザインは、不気味の谷(人型ロボットが人間に似ていく過程で、違和感や嫌悪感を抱く現象)の狭間にある絶妙なバランス。さらに、攻撃対象へのドSすぎる言動や、アメリカでミーム化したキモカワダンスといった力技で、彼女の魅力がますます輝く。

 常に子供に寄り添う“理想の保護者”としての姿は、『チャイルド・プレイ』のチャッキーよりも『ターミネーター2』のT-800に近く、恐怖の対象でありながら、頼れる存在に見えてくるのもユニークだ。ChatGPTの出現で広まるAIの加速度的進化や依存する人間側の問題をはじめ、現代的なテーマがさりげなく盛り込まれているのもニクい。暴力描写は抑えめなので、苦手な観客も楽しめるはず。

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スパイダーマン映画史を塗り替える歴史的瞬間

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』6月16日公開

 アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編。主人公・マイルスがマルチバースを飛び出し、愛する人を救うため、他次元のスパイダーマンたちと激突する。

 実写映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で本格化したマルチバースによって、240体以上のスパイダーマンが一堂に会する光景は歴史的瞬間で、前作以上に挑戦的で未体験の映像表現に序盤から引き込まれる。主人公・マイルスと彼の理解者・グウェンの葛藤と、スパイダーマンとしての宿命は、前作よりダークなトーンで深掘りされ、マルチバースによって予測不能できない結末は衝撃と共に、二部作後編となる次回作への期待が一層高まる。ファンの心を掴む膨大な数のイースターエッグは、分刻みで盛り込まれているため、一瞬たりとも気が抜けない。『ノー・ウェイ・ホーム』で一つの区切りを迎えたスパイダーマン映画史を塗り替える、正統続編だ。(編集部・倉本拓弥)

出し惜しみナシ!フラッシュの魅力全開

ザ・フラッシュ』6月16日公開

 地上最速の能力を持つDCヒーロー、フラッシュことバリー・アレンが、過去に戻って家族を救おうとしたことが、世界に影響を及ぼす物語。マルチバース(並行世界)を背景に、ヒーロー集団ジャスティス・リーグのなかでも青さが残るフラッシュの痛みを伴う成長が描かれる。

 冒頭から、エズラ・ミラー演じる“完璧なスーパーヒーロー”ではないフラッシュらしい人間味溢れる魅力が全開。世界に危機が訪れるというシリアスなストーリーのなかでも、フラッシュの陽気さやクセになる笑い声は悲壮感より未来への希望を予感させ、もう一人の自分とのコミカルな掛け合い、おしゃべりなフラッシュと寡黙なバットマン&スーパーガールの対比など絶妙なバランスで笑いを誘う。また、スーパーガールを演じた新星サッシャ・カジェの放つエネルギーが強烈で、ベン・アフレックふんするバットマン、マイケル・キートン演じる異なる世界のバットマンはどちらもシビれるほど魅力的だ。(編集部・梅山富美子)

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