今の米国社会に漂う「空気」が感じられるアイディア賞ホラー

とりあえず着眼点が素晴らしい。主人公は白人女性と付き合っている黒人男性。彼女の里帰りに付き合って、白人ばかりの田舎町へ足を踏み入れるわけだが、どうも何かがおかしい。住民は過剰なまでに黒人のことを持ち上げるし、使用人として働く黒人たちの態度も不可解だ。案の定、この町には恐ろしい秘密が隠されている…。
マイノリティが本能的に感じる不安を逆手に取り、まるっきり意表を突く方向へと展開していくストーリーに驚かされる。これ以上はネタバレになるので詳しくは述べないが、今のアメリカ社会に漂う「空気」というものを、ホラー・エンターテインメントとして見事に昇華していることは確か。なかなか上手い。