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カメラを止めるな! (2017):映画短評

カメラを止めるな! (2017)

2018年6月23日公開 96分

カメラを止めるな!
(C) ENBUゼミナール

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

相馬 学

映像制作の”不幸”が”幸福”に昇華した奇跡

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 予備知識なして観た方が楽しめると思うので多くを語るのは控えるが、最初の30分に描かれたことを記憶しておくほど楽しめるのは間違いない。

 ゾンビ映画と思いきやバックステージものへと展開し、映画愛や家族愛に帰結する物語の大胆な構造。返す刀で、映像制作における残酷な側面や、制作側のパワーバランスをも浮かび上がらせる。そういう意味では、映画好きほど楽しめる。

 インディーズゆえの粗さはあるものの低予算映画が脚光を浴びるのは喜ばしいし、幅広い映画を受け入れる観客の土壌を開拓するうえでも意義深い。描かれることに没入するもよし、現象として理解に務めるもよし。いずれにしても、選ばれし幸福な映画である。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

映画愛とシン・ゴジラ的カタルシス

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

もちろん予備知識ゼロで向かい合えば最高の映画体験だったろうが、今作の場合、映画ファンならわずかな情報で、ある程度、作品の構造や展開を予測できるだろう。しかし予測できても、その一段上の快感を導いてくるのも事実。それは矢継ぎ早に繰り出される伏線の回収にもよるが、トリュフォーの『アメリカの夜』などに通じる撮影現場への愛、そして『シン・ゴジラ』も脳裏をよぎる、一致団結のカタルシスが相乗効果を起こすからだ。本能的に涙腺も刺激されるが、もし同じ作品を知名度の高いキャストで実現したら、同じ感覚を得られたか? あざとさが見え隠れしたはずで、純粋さが放つこの奇跡を、映画として正当に評価する難しさも感じる。

この短評にはネタバレを含んでいます
清水 節

フレームの外で起きているカオスにこそ映画の醍醐味が潜んでいる

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 どうせ低予算ホラーでしょ、と敬遠していては後悔する。観始めて37分。長回し撮影に新味はあるか…それに演出は素人っぽい…。だがしかし、そこから本当の幕を開ける。ゾンビ映画の仮面を被っているが、これはカメラのフレームの外で起きている制作現場のカオスにこそ、映画の醍醐味が潜んでいるという真実に目を向けさせる作品だ。予測不能の事態や一回性といったファクターが、作り手をなりふり構わず本気にさせる。映画作りへの愛に満ちたこのビハインド・ムービーに、あらゆる物語は語り尽くされたと胡坐をかく者は嫉妬して発奮し、日本のエンタメに限界を感じていた観客は映画を愛し直し、96分後には笑いながら涙を流すことだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

ゾンビ映画の新しい夜明け?

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

まったくもって、困った作品だ。ネタバレ厳禁なのはもちろん、前半37分ワンカット、ワンシーンで描かれる劇中のゾンビ映画が……!である。いろいろムカムカさせ、モヤモヤを残してくれる。前半と後半でテイストが変わるジャンル映画といえば、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』が挙がるが、それとも違う。待ち受けるのは、ある意味『ハロー!?ゴースト』級のサプライズと感動だ。ヒントを言えば、一見『ありふれた事件』や『食人族』的に見えるタイトルが、じつは三谷幸喜の戯曲「ショウ・マスト・ゴー・オン 幕を降ろすな」な意味合いであること。いわば、レイティングとは無関係のゾンビ映画って、まったくもって、ワケ分からんだろ!

この短評にはネタバレを含んでいます
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