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ディック・ロングはなぜ死んだのか? (2019):映画短評

ディック・ロングはなぜ死んだのか? (2019)

2020年8月7日公開 100分

ディック・ロングはなぜ死んだのか?
(C) 2018 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.6

なかざわひでゆき

大人になれないダメ男たちの悲哀

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アメリカ南部の寂れた片田舎で、ガレージバンド仲間の一人が死体となって発見されたことから巻き起こる、悲喜交々の珍騒動をシュールな笑いで描いていく。夢はあっても退屈な田舎から外へ出る勇気がない、家庭を持っても責任は取りたくない、いつまでも男同士でバカ騒ぎしていたい。そんな大人になれないダメ男たちが、目の前の現実から目を背けるように嘘や誤魔化しを重ね、どんどんとドツボにハマっていくことになる。周囲の女性たちが彼らとは対照的にしっかり者ばかりなのがまた皮肉。監督の前作『スイス・アーミー・マン』ほどのインパクトはないものの、下ネタかよ!なオチを含めて妙な味わいのある作品だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

とにかくユニーク。思わぬ拾い物をした

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

最初から最後まで「あちゃー」な瞬間だらけ。大人になれない男たちがバカなことをやった結果、起きてしまったとんどもない悲劇。その対応もまた考えが浅すぎて、どんどん悪いほうへ転がっていく。しかも、普段は平和なアラバマの田舎とあって、捜査するほうも捜査するほうなのだ。「ファーゴ」の南部版と言えなくもないが、もっとブラックコメディ感が強い。にもかかわらず、このアホな男たちに、不思議にも思い入れしてしまうのである。それは、マイケル・アボット・Jrとアンドレ・ハイランドの、人間味に満ちたパフォーマンスのおかげも大きいだろう。とにかく、ユニークで、思わぬ拾い物をしたような映画だ。

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くれい響

前作同様、下ネタ満載のトモダチ映画

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

“死体のオナラ・ジェットスキー”でおなじみ、『スイス・アーミー・マン』のダニエル・シャイナート監督の新作だけに、今回もほぼ一発ネタで引っ張る、恐れ知らずの一作。またも、下ネタ満載のトモダチ映画で、前作でダニエル・ラドクリフが演じた役回りを監督本人が演るヤバさもありつつ、『パルプ・フィクション』からレッチリに流れる台詞回しや、コント的な絶妙な間も、いいスパイスに。引っ張りの演出力も確実に上がっており、“雪が降らない『ファーゴ』『シンプル・プラン』”になっているが、50分程度で“驚愕の真実”が判明した後の展開が蛇足に見えてしまうのは事実。ミシェル・ヨーが主演するらしい次回作に期待か?

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

意外な結末もだいたいは予想つく。でもこの映画は軽々と予想超え

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

タイトルからして、登場人物の一人、ディックの死の原因を探る物語と思われ、実際にそのような流れだが、冒頭のドンチャン騒ぎから人間関係がよくわからず、しかも当の死亡者がどういう経緯でそうなったのか混乱状態でこちらに提示される感じ。なんだか乗り切れないモヤモヤとカオスのまま観続けると、ディックの死に翻弄される仲間のアホな奔走、頼りなさげな警察の介入が、アメリカ南部田舎町らしいユルいサスペンスの快感へとシフトしていく。

バカらしいのか、驚天動地なのか、それすら判然としない後味は、明らかに他の映画では体験できない魔球レベル。秘密を共有する男たちの絆はストレート。そして人間の欲望に限界という言葉はない。

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相馬 学

ダメ男の耳に痛い!?教訓含みの怪作

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 怪作『スイス・アーミー・マン』の監督の新作は、やはり怪作だった……と言っても、こちらは現実的で、ダメ男としては耳が痛かったりする。

 家庭を持っても親友たちとバカ騒ぎしたい。妻も許してくれてるし、なんの問題もないはずだったが、死体が転がったことで事態はヤバくなる。そんな状況を隠そうとする男たちのドタバタが物語の機動力になる。

 死体となった男の“ディック・ロング”という役名だけで笑えてくるし、見終えたあとはこの名にもオチが付く。が、それ以上に”男同士のお楽しみ”はほどほどに……という教訓に叱られているよう。ラストに流れるニッケルバックの曲の歌詞を噛み締めながら反芻してほしい。

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森 直人

謎はタイトルに思いっきり隠れてますな(笑)

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

まさに「B級仕様のコーエン兄弟」!(監督自身、『ファーゴ』からの影響を公言)。頓馬なミスや間違った判断から、どんどん悪い方へ転がっていくオフビートな黒喜劇スタイル。ただ要に据えたモノがやたらくだらないという……(笑)。監督の前作『スイス・アーミー・マン』は、瞬発力は凄いけど展開力が弱い作品の典型だったが、今回は語りの持続力を補強したようだ。

ポイントは「ディック」というアレなあだ名と、南部アラバマの退屈なド田舎ってこと。古いロックを演る自堕落なおっさんガレージバンドとか、ヨレて穴の空いた白Tとか汚い洗濯機とか、トラッシュな生活感たっぷりの“ダサかっこいい”画作りはアメリカ映画が圧倒的に巧い。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

「スイス・アーミー・マン」の監督がまた別の微妙な味を醸し出す

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 万能ナイフ、スイスアーミー・ナイフのように何にでも使える死体を描いた奇妙な映画「スイス・アーミー・マン」の監督コンビの一人、ダニエル・シャイナートの新作というだけで見ないわけにはいかない。前作とはテイストが異なるが、ビミョーな笑いがたっぷり仕込まれているところは同じ。小さな町で起きた小さな出来事が、関係者たちが右往左往するたびに膨らんで行き、やがて町全体を揺るがす大騒ぎになっていくという展開と、町の警官が女性2人のせいもあって映画&TVの「ファーゴ」の雰囲気もあるが、主要登場人物たちに悪気がないので、また別の味。この面白さを伝えるのが難しくてムズムズする感じが前作と共通だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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