完璧な76分の「大作」!

『さよなら、人類』でロイ・アンダーソンの「リビング・トリロジー」は完結したはずだが、その嬉しすぎる延長。シャガールの『街の上で』(今泉力哉の同名映画タイトルの元ネタでもある)を戦禍のケルンの上空に再現した美麗な画から始まり、超“ごっつええ感じ”のミニコントが連発。『去年マリエンバートで』のショートVer.を33篇詰め込んだ位の充実と労力があるのでは?とすら思う。
例によって本作は、ほぼ全て監督の自社スタジオ(箱庭)の中で創造されたもの。同じくジャック・タチの発展的後継でも、パレスチナ問題を巡る実景を背景にしたエリア・スレイマン(『天国にちがいない』が来年1月公開予定)と比較してみるのも一興。