美術館や画集で絵画を見ていたら、想像で動き出すような感覚も

2020年11月18日 斉藤 博昭 ホモ・サピエンスの涙 ★★★★★ ★★★★★

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ホモ・サピエンスの涙

セットや背景、小道具のアナログへのこだわりが監督の作家性だが、もはやそれを「楽しむ」レベルを超えてしまっている。有名な絵画を模倣したシーンも、そこに「意味」を見出すのではなく、人物の配置など視覚的な美しさを追求しているようで、『TENETテネット』のごとく「考えるな。感じろ」と向き合ってほしい作品。
唯一無二の絵作りと流れる時間には正直、戸惑う部分もあるし、どうでもいいほど共感できないエピソードも出てくる。今作の人と人の関わり方が「コロナ禍を予感したよう」なんて見方もできるけど、迫害や戦争、殺人という重い瞬間を日常の点景に入れ込んだ「無造作感」にこそ、人生や世界の真理を感じてしまうのであった。

斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴:1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとして映画誌、女性誌、情報誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況:地元の藤沢で、同じ高校出身の大島新監督の『なぜ君は総理大臣になれないのか』凱旋上映。監督のトークのお相手を務めました。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

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