ガーウィグ、キム・ボラ、岨手由貴子

素晴らしい出来! 山内マリコの傑作小説を豊かな映画空間へと昇華させた岨手由貴子(83年生)の新作長編は、同世代であるグレタ・ガーウィグの諸作(ひとつ挙げるなら脚本・主演作『フランシス・ハ』か)や、キム・ボラ『はちどり』等と響き合うもの。階層や性差、世代間などの衝突から、分断ではなく共生の新しい可能性を見据える。
門脇麦×水原希子という意表を突いたキャスティングが最高で、固有性と入れ替え可能性が絶妙なバランスで両立。ミレニアル世代の『東京ガールズブラボー』といった印象もあり。「結婚」を核にすると、岨手の前作『グッド・ストライプス』とは同軸反転の趣で、日常生活に潜む政治意識は確実に連続している。