見事な脚色に拍手

2021年4月8日 中山 治美 騙し絵の牙 ★★★★★ ★★★★★

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騙し絵の牙

原作からブラッシュアップされた脚本が逸品だ。特に恋愛部分の排除。むしろここは「女性観客向けに恋愛要素を入れるべき」とする映画界の古い価値観に囚われた人たちがねじ込んでくる部分だが、この英断がクセ者たちが蠢く出版界の狂騒を例え風刺を込めてシニカルに描いていたとしても、プロの現場の厳しさと文化芸術に携わる人全てへの愛が根底にあることが伝わってきて観賞後の爽快さに繋がっている。そして、この狂騒の象徴である國村隼演じる大御所作家の存在の素晴らしさたるや。韓国映画『哭声/コクソン』の怪演といい、毎度予想だにしないキャラクターで登場して作品を盛り上げる俳優はいるだろうか。しみじみと良い俳優だ。

中山 治美

中山 治美

略歴:茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。日本映画navi、全国商工新聞、スカイパーフェクトTV(ぴあ)、BANGER!、朝日新聞webサイトおしごとはくぶつかん情報館内で「おしごと映画」を執筆中。いつの間にやら映画祭を回るのがライフワークとなっている。お気に入りはオランダ・ロッテルダム国際映画祭とスペインのサンセバスチャン国際映画祭。

近況:本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)、DVDマガジン「石原裕次郎シアター」(朝日新聞社)が発売中デス。ライフワークの旅の記録をまとめたブログはこちら。https://tabisutekaisyu.amebaownd.com

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

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