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ビーチ・バム まじめに不真面目 (2019):映画短評

ビーチ・バム まじめに不真面目 (2019)

2021年4月30日公開 95分

ビーチ・バム まじめに不真面目
(C) 2019 BEACH BUM FILM HOLDINGS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

轟 夕起夫

このマシュー・マコノヒーを、吉田新太に空目してしまった

轟 夕起夫 評価: ★★★★★ ★★★★★

四六時中ラリっ放し、天才にして放蕩な詩人ムーンドッグ役に同化し、無双状態のマシュー・マコノヒー。観ると思わず「♪ラリホーラリホーラリルレロン」なんてご陽気な鼻歌が飛び出してしまう。が、乱痴気騒ぎの連続に挟まれる美しい夕陽がどこかもの哀しくて、まるで“自由の刑”に処せられたかのよう。

元アンファンテリブル(恐るべき子供)、監督&脚本ハーモニー・コリンが目指した「一期は夢よ、ただ狂へ」的展開はシナリオ学校では0点を食らうこと必至。しかしそれが、あれよあれよと極上の時空間を達成してしまう映画の不思議。絶対に日本では作れないが、万が一、企画が通ってしまったら主役を演れるのは吉田新太しか思いつかない。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

別次元のダメ男が、マコノヒーの自由演技で憧れの人物に変貌?

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

「クズだけど才能がある」。こう形容される主人公の生きざまは、多くの人の心に潜む理想でもあると、本作を観ていると納得(錯覚?)してしまう。演じるM・マコノヒーの、自由で、(いい意味での)下品で、天才を気取ったダメっぷりはハマりまくっており、奇人に説得力を与える演技の見本という感じ。ただ、キャラクターの設定はどこか時代に取り残された「あだ花」のようで、全体にノスタルジックな寂しさも漂う。
能天気なストーリーに身を任せていると、意外な落とし穴があったりしつつ、そこも妙な笑いと軽さで演出され、主人公像だけでなく、映画の作りも自由なムード。そのあたりも大らかに受け入れられる人には、最高の時間になるかと。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

本人が幸せなら、それでいいんじゃない?

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

富豪女性との結婚で享楽的な生活に耽溺し、才能を無駄にした詩人というキャラ解釈が間違っていたと思わせる展開の人間ドラマだった。M・マコノヒー演じる詩人は全てにおいてフラットで、場当たり的な生活に満足している感じが素晴らしい。カリスマ的な魅力を放つ彼の周囲に集まるヘンテコな人々もどこか壊れているけれど、そこが逆に愛おしさを感じさせる。役者陣も振り切った演技を楽しんでいるし、H・コリン監督が巧みな人間観察力を発揮している。ボンゴを叩く自虐的なギャグ演技を披露しながら詩を紡ぎ出すマコノヒーだが、詩が天才的なの?という疑問は拭いきれない。まあ、でも本人が幸せならそれでいいよね。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

破天荒なカリスマをマコノヒーが演じ切る!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『スプリング・ブレイカーズ』でジェームズ・フランコが演じたインテリ売人が、もしも一発屋の詩人だったら? そんな酒とクスリと女を愛す男をマシュー・マコノヒーが演じるだけに、それなりの覚悟で挑みたい怪作。あまりに自分勝手な破天荒キャラながら、そこまで胸糞悪くならないのは、主人公のカリスマ性をしっかり醸し出すマコノヒーならでは! “闘魂”ハチマキでアチョーなザック・エフロンや、笑えないことになる船長のマーティン・ローレンスらとの絡みも楽しいスター映画としても観れるが、『スプリング・ブレイカーズ』同様、脚本よりヴィジュアル重視。終始パリピノリにノレなければ、かなりキツい一本でもある。

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平沢 薫

陽気な無頼とはこういうこと

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 陽気な無頼。そのうえ、身のこなしが軽い。でたらめでいいかげんで無茶苦茶なのに、魅力的。何にもとらわれないので、誰とでも一緒にやれる。そんな主人公にとって、世界がどのようなものであり、詩を書くとはどのようなことなのかは、ラスト近くのあるシーンで主人公自身が語るのだが、そうしたセリフが蛇足なのではないかと思われてしまうのは、そこで語られることはすでに画面に映し出されているからだ。
 最初から最後まで、昼も夜も、色彩がずっと鮮やかで艶やかで暖かく輝度が高いのは、主人公がいるのがそういう世界だから。画面を見ている間中、この主人公が存在し得る世界をたっぷり味わうことが出来る。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

何でもいいから陽気にしていようじゃないか(H・ミラー)

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

「人間の生活には目的なんかないのです」と喝破する澁澤龍彦の『快楽主義の哲学』が本作の明確な解説書になるのではないか。ヘミングウェイが愛したフロリダ州キーウェストで、船と海と太陽の下を住居に古いタイプライターを打ち、釣りに興じる。猫も大好き。破天荒な父親でもある。ロレンスやボードレールの詩を引用し、大金持ちでも無一文のホームレスでも、酒瓶片手にスケボーでそこら辺を徘徊する。

居もしない主人に仕えないこと。リラックスして動物的な状態に身を置くこと。『KIDS』や『ガンモ』から『スプリング・ブレイカーズ』を経たハーモニー・コリンの流浪は、何も変わらずただ逆説的な肯定への意志が増していく。最高。

この短評にはネタバレを含んでいます
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