聖者の午後 (2012):映画短評
聖者の午後 (2012)経済大国の発展に取り残された若者たちの怠惰な日常
持てる者と持たざる者の格差が広がり続ける昨今、陽の当たらない場所で生きる人々を描く作品が世界的に増えている。本作もその一つ。世界第6位の経済大国に成長したブラジルの大都会で、社会の発展から取り残された貧困層の若者たちの日常を映し出す。
仕事がない、あったとしてもろくに稼げない、金がないから携帯やパソコンもない、することがないからボーッとするしかない。モノクロで捉えられた彼らの怠惰な毎日には未来への夢も希望も存在せず、もはや絶望する気力すら起きないほど沈んでいる。
殆ど何も起きない映画なので、96分の上映時間は少々長く感じられるが、新自由主義経済の暗部を冷静に見つめた作品として興味深い。
この短評にはネタバレを含んでいます