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神々の山嶺 (2021):映画短評

神々の山嶺 (2021)

2022年7月8日公開 94分

神々の山嶺
(C) Le Sommet des Dieux - 2021 / Julianne Films / Folivari / Melusine Productions / France 3 Cinema / Aura Cinema

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

なかざわひでゆき

人はなぜそれでも山の頂上を目指すのか?

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 谷口ジローによるコミック版『神々の山嶺』をフランスでアニメーション化し、セザール賞の最優秀アニメ賞に輝いた作品。同じ夢枕獏の小説を原作とする邦画実写版は、主人公の登山家・羽生と写真家・深町の心理描写が希薄で、そのため映画の核となるものが見えてこなかったのだが、本作では豊かな映像表現によって主人公たちの深層心理へと迫ることで、人はなぜそれでも山の頂上を目指すのか?という普遍的な疑問に対する明確なメッセージが浮かび上がる。劇中で描かれる昭和や平成の日本の風景の再現度も非常に高く、日本語吹替版で見るとこれが外国映画であることをつい忘れてしまう。これはちょっと面白い感覚だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

アニメーションに出来ることに真摯に取り組む

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 山に挑む男たち、という題材にアニメーションという手法を用いるのはなぜなのか。そこには、人気コミックの映像化であること以外の理由があるのではないか。そんな興味から作品を見て、発見がいくつもあった。山の高所で体がロープ一本で宙吊りになったときの緊迫感、恐怖感。急に変化する山の天候の脅威。それらは、アニメだからといって減ることはない。また、そこに存在するものと、そこにあるはずはないが登場人物がそこで見たと思ったものを、同じ存在感で画面に出現させることができるのは、アニメだからだろう。製作陣の、派手な映像を狙わず、アニメに出来ることに真摯に取り組む姿が、山を登る男たちの姿に重なる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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