湖の見知らぬ男 (2013):映画短評
エッジーな性愛と欲望の先には
アラン・ギロディの出世作となった2013年の長編第4作。のちの破格な個性の大きさからするとまだ出力は限定的だが、そのぶんソリッドに宙吊りのサスペンス話法が駆動する傑作。ゲイの男性たちが集まるヌーディストビーチ――美しい湖畔のハッテン場とその周辺のみが舞台。無防備に性器をさらけ出す男たちの桃源郷の如き長閑な場所で、ある時、殺人事件が起こる。
仏映画の定番ジャンルであるヴァカンス映画を改造して犯罪映画と接続させた説話構造はラブロマンスの魔に向かう。主人公の青年フランクはいかにもオムファタール然としたミシェルに惹かれていくが、謎の残し方にしろ通例とは“優先順位が違う”ギロディの判断は本当に独特だ。
この短評にはネタバレを含んでいます



















