ゆきてかへらぬ (2025):映画短評
ライター2人の平均評価: 3.5
出逢ってしまった男と男と女
芽の出ない女優の長谷川泰子とまだ学生だった、のちの詩人中原中也、そして二人と運命的な出逢いをする評論家の小林秀雄の物語。単純な三角関係の映画とも愛憎劇とも言えない文芸ロマン映画。中原中也という難役に挑んだ木戸大聖とこれまでの役どころから一段上がって”年上の女性”を演じる広瀬すずが必死に映画に追走している姿が時に痛々しさを感じさせながらも、見ることができます。一方、すでに大人であった小林を演じる岡田将生は流石の存在感。基本的には好青年を演じることが多いですが、こういう曲者キャラだと俄然活き活きとしています。
俳優として明らかに次のステージに進んだ広瀬すずを目撃
明らかに独自のスタンスを貫いた作品。ストーリーが徹底シンプルで、時としてほとんど進まない時間もある。そこから伝わるのはメインキャラクター3人の深く複雑な心情で、観る人によってはスローに感じるかもしれない。しかしこういった作品が減っている近年、貴重な輝きを放つのも事実。
2人の男性の間で心が揺れ続け、時に激しい感情を爆発させつつ、どこか自身の運命に諦めを感じた儚さも…というヒロイン泰子役で広瀬すずの別次元の魅力が開花。本作とドラマ「阿修羅のごとく」で、2025年は演技開眼の年になったと断言できる。
男2×女1の関係性は時代や国を超え、多くの作品を連想させ、最近では『チャレンジャーズ』とシンクロ。



















