ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女 (2023):映画短評
生きるため加害者となった被害者の実話
第二次世界大戦下のドイツで、ゲシュタポのスパイとなって大勢の同胞を収容所送りにしたユダヤ人女性ステラ・ゴルトシュラークの実話を描く。歌手としての成功を夢見る自立した女性ステラ。惨めな思いをして怯えながら暮らすのは嫌だ、今しかない青春を謳歌したい。若さゆえの無鉄砲な行動を繰り返した彼女は、ゲシュタポに捕まり壮絶な拷問と脅迫を受け、自分と両親が生き延びるためホロコーストへ加担する。確かにステラの犯した罪はあまりにも重いが、しかし彼女と同じ状況に置かれた時、果たしてどれだけの人が正義を貫けるのか。登場人物の誰一人として聖人化も悪魔化もせず、良くも悪くも平凡で不完全な人間として描いている点が良い。
この短評にはネタバレを含んでいます



















