Playground/校庭 (2021):映画短評
ライター2人の平均評価: 3.5
子供視点の映像が、その頃の記憶を刺激する
初登校する7歳の子供の視点で、"集団生活"という未知の世界との遭遇が描かれる。7歳の目に映るものが、記録映像のリアルな手触りで迫り、聞こえてくる音声も生々しく、観客自身のその頃の記憶を刺激する。
初めて足を踏み入れる、知らない人ばかりがいる校庭、そこに溢れる得体の知れない騒がしい音、それが引き起こす不安と恐怖。そこではよく知っているはずの兄も、自宅にいる時とは別の顔を見せる。その場所で、苦痛をもたらす状況が生じるが、その状況を解決する方法が見つけられないのは、7歳の子供だけでなく、映画を見ているこちらも同じなのではないか。この状況が、さまざまな場所で起きていることに気づかされる。
子どもたちにとって、学校とは戦場である
『ありふれた教室』に続いて、学校という小さなコミュニティから生まれるサスペンス・スリラーであり、“子どもたちにとって、学校とは戦場である”という言葉を如実に表現した72分間の映像体験。人見知りがちゆえの登校初日や兄に対する上級生のイジメを目の当たりにしたときの不安心理など、主人公である7歳の少女目線で描かれることによる没入感と緊迫感がハンパない。だからこそ、教師どころか監視員と呼ばれる大人たちの視線や対応が残酷に見えてくるなど、長編デビュー作ながら、ダルデンヌ兄弟も認めたローラ・ワンデル監督の才能に驚かされる。これぞ、かつて子どもだった大人が観るべき一本!





















