ドマーニ! 愛のことづて (2023):映画短評
今日までそして明日から
モノクロームで描かれる1946年ローマの庶民の日常。しかし呑気な郷愁の目線ではなく、DV三昧の壮絶な男性支配に甘んじる女性の姿が映し出される。国民的スターにしてこれが初監督となる主演のP・コルテッレージ(才人!)は、コミカルな批評性を持って伊映画の伝統を受け継ぎつつ新しい地平に塗り替えてみせた。
基本はデ・シーカ史観的。『靴みがき』から『ウンベルトD』のネオレアリズモと『昨日・今日・明日』等の人情喜劇路線を融合させた様な作風ながら、実は音楽の使用法など全てがモダンなタッチ。敗戦後の光景は同時期の日本と共通するが、ラストに据えられた“ある重要な一日”も日本と同じく1946年に訪れたのだった。
この短評にはネタバレを含んでいます



















