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ふつうの子ども (2025):映画短評

2025年9月5日公開 96分

ふつうの子ども
(C) 2025「ふつうの子ども」製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 5

轟 夕起夫

今年の自分の「邦画ベスト・テン」にランクイン!

轟 夕起夫 評価: ★★★★★ ★★★★★

子ども主体の物語だが大人をも含めた生態系、「生きとし生けるもの」についての映画だ。ドキュメンタリー的ではあるけれども、フィクションの醍醐味がぎゅうぎゅうに詰まっている。前半は手持ちカメラ中心で、途中からフィックスが主軸となってドラマが別次元へと向かっていく(呉美保組の田中創による)撮影スタイルもいい。

終盤、主要3名が学校へと呼び出されてしまう面談シーン。これまで表面化しなかったそれぞれの“顏”が、その親たち(蒼井優と瀧内公美が最高!)と共に浮き彫りになる劇的展開に笑い泣き。トータルとして、製作陣が念頭に置いていたという『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(17)のクオリティにも匹敵する。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

やんちゃで、シニカルで、楽しすぎる令和の子ども劇場

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

監督:呉美保×脚本:高田亮。おなじみの黄金タッグだが、今回は本来異質なふたつの個性が衝突してユニークな化学反応が起こった感が強い。嶋田鉄太はじめ強力な子役たちによって紡がれる小学4年生(+大人)群像。清水宏的にも見える子ども映画のナチュラリズムを、大林宣彦直伝の作り込みで組成していく呉流儀の映画術が凄い!

高田のオリジナル脚本は、政治運動のパロディ的展開を見せる相当攻めた風刺性を装填したものだ。それをいまの日常のリアリティに馴染ませた呉の演出がやはり見事。『僕らの世界が交わるまで』や『HOW TO BLOW UP』といった米国のZ世代を描く映画群と響き合った“日本のα世代”映画とも言える。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

味わったことのない映画体験。それに尽きる傑作

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

これほどまで子どもたちの素直な感情、行動を映像に収めた日本の劇映画があっただろうか。そんな事実に感動して冒頭からラストまで打ち震えた。目の前のことを楽しむ率直さは、まるで子どもたちが自分で監督したかのよう。カメラも基本、子ども目線の高さが多用される。
脚本はかなり考え尽くされ、練られ、修正されたのは呉美保監督らしいが、その脚本どおり子役たちが演じ、あそこまで自然な表現というのは奇跡的。子役演技(全員)も史上最高峰では? 一部セリフが聴きづらい部分も、リアルな日常感を醸し出すうえで意図的なのだろう。
シリアスになりそうな見せ場での笑いの挿入など“大人の映画”としての優秀さも軽々とクリアしている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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