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中山教頭の人生テスト (2025):映画短評

2025年6月20日公開 125分

中山教頭の人生テスト
(C) 2025映画『中山教頭の人生テスト』製作委員会

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 5

中山 治美

渋川清彦の代表作、また一つ誕生

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

今の学園モノといえば、型破りな教師が学校にはびこる問題を荒治療する作品が定番になりつつある。彼らが放つ正論は痛快だが、多くの教師、いや、ほとんどの大人が本作の中山教頭に我が身を見たり......なのではないだろうか。ひたすら実直に生徒と向き合う教育者としての理想的な姿と、圧倒的な縦社会の中で立ち回らなければならない中間管理職との間で右往左往する日々。だが、酸いも甘いも噛み分けた大人だからこそ伝えられる言葉が後半にある。世知辛い時代を生きる子どもたちの心を軽くするような、その一言のセリフに込めた佐向大監督の思惑に泣く。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

いま、これほど真っ当な“学校もの”は他にないかもしれない

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

ポンコツ教頭に扮する渋川清彦が素晴らしい。“いつもと違う役”を演じた時の俳優の魅力が全面発揮されている。一見システムに飼い慣らされた従順な羊のようで、ちらちら狼の本性が漏れていくが、あくまで刃は鞘に納めて柔らかく包む。娘からは「ゆるキャラ」とも呼ばれつつ、実は道化こそが真実を言うと古代から相場が決まっているのだ。

学校ものとしては『逃げきれた夢』や『怪物』よりむしろ王道で、生徒児童や教員たちを個別に描き上げた群像も見事。そして白眉は“終わってる世界”に向けての教頭のぶっちゃけた本音だ。この異色スピーチは監督・佐向大の肉声が生々しく響いているようで、チャップリンの『独裁者』を本気で連想させる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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