秘顔-ひがん- (2024):映画短評
秘顔-ひがん- (2024)
エロスから、世の不条理が見えてくる
男と女の官能サスペンスと言ってしまえばわかりやすいが、そんなに単純な内容ではなく、いろいろと考えさせられる。
冒頭の30分でエロチックな雰囲気が高まるも、その後は次々と意外な事実が明かされ、男女3人の関係の複雑さが見えてくる。そこに横たわる格差社会の現実。支配する者と支配される者の価値観の違いを浮き彫りにしたラストは、尾を引くに違いない。
前作『情愛中毒』もパンチの効いた官能ドラマだったが、キム・デウ監督は本作でも社会の非情な現実を突きつけてくる。ファム・ファタール、パク・ジヒョンの強烈な個性が目に焼きついた。
この短評にはネタバレを含んでいます