突然、君がいなくなって (2024):映画短評
ノルディックシネマの真髄を感じる
アイスランドのルーナ・ルーナソンは“短編王”として良く知られる監督だが、この長編第4作は彼流儀の端正な設計術が強度を失わずに延長された80分の傑作。主人公は火災事故による「恋人の死」という試練に直面した美大生の女性ウナ。まだ整理のつかない混乱状態の時間を追う一日のスケッチで、彼女が知らなかった恋人の側面もちらちらと明らかになる。
「喪失」という主題を淡い色のグラデーションとして繊細に扱い、澄明な瞬間へと導く描写力が素晴らしい。レイキャビクのローカルな風景の魅力も、地元民ご用達のスポットから有名なランドマークまで存分に活かした。16mmフィルムの撮影、ヨハン・ヨハンソンの音楽、全てが効果的。
この短評にはネタバレを含んでいます




















