港のひかり (2025):映画短評
ライター2人の平均評価: 4
12年間の空白を全て埋める眞栄田郷敦の存在感
『てっぺんの向こうにあなたがいる』の”のん”→吉永小百合、『TOKYOタクシー』の蒼井優→倍賞千恵子と、登場人物の人生を色濃くする好配役が続いているが、本作の尾上眞秀→眞栄田郷敦は特筆せずにはいられない。過酷な少年時代を過ごした幸太が、元ヤクザ・三浦の庇護なき後どう生きたか? 郷敦のファーストショットだけで、空白の時間を全て埋める。三浦の思いを受け止め、真っ直ぐ、力強く歩んできたことを容易に想像させる澄んだ目と凛々しき姿。三浦ならずとも、思わず涙せずにはいられない。本作にはありし日の能登の景色も含め、先人たちが築いた宝が随所に刻まれているが郷敦という存在も間違いなくその一つである。
舘ひろしの凄さを再認識
まず最初に”撮影・木村大作”という文字が出て映画が始まるのが凄いですね。そんなレジェンドキャメラマンを迎えた藤井道人監督と21年の『ヤクザと家族 The Family』でも意外な相性の良さを見せた舘ひろしが今回も愚直にしか生きられない漢を好演してます。単独主演作品は久々ですが、ここへ来て改めて舘ひろしという俳優の凄さを実感させる作品が続いていますね。今回の偶然出会った少年のためだけに不器用に生き続ける漢の姿や表情は舘ひろしにとって大きな存在でもある故渡哲也の雰囲気を感じさせる時もありました。屈折したキャラクターを演じた椎名桔平も好印象です。





















