美しい夏 (2023):映画短評
ライター2人の平均評価: 4
イタリア式、ニュースタンダードの貌
Netflix版『山猫』からの繋がりで興味を持つ向きも多いかも。参加監督のひとり、ラウラ・ルケッティの長編第3作で、アンジェリカ役を好演した新星ディーヴァ・カッセルが映画デビューを果たした2023年の秀作だ。
舞台はムッソリーニの演説が不穏に響く1938年のトリノ。『キャロル』『燃ゆる女の肖像』等の成果に連なる内容は約80年前のパヴェーゼの原作小説が備える先駆性を大切に活かしたもの。ポイントを押さえた脚色術が光る。イーレ・ヴィアネッロ扮する主人公ジーニアは16歳という設定ながら自立の入口に立つ新社会人。極右勢力が台頭する時代の都市空間でのガール・ミーツ・ガール――まさに“今”を射抜く物語だ。
サラブレッド女優ディーヴァ・カッセルの美貌にも注目の文芸映画
舞台は1930年代、ファシスト政権下のイタリア。主人公は都会の洋裁店で働く大人びたしっかり者の少女。全体主義の息苦しい社会に違和感を抱える彼女は、自由奔放で美しい絵画モデルの年上女性に魅了され、彼女を通じて知り合った芸術家コミュニティに刺激を受けていく。古典的な名作イタリア文学の映画化。まだ大人でもない子供でもない多感な年齢のヒロインが、背伸びをして冒険をして迷い傷つきながら、自分らしい生き方を模索する。そのひと夏の出来事を端正な映像美で描いた佳作。憧れのお姉さんを演じるサラブレッド女優ディーヴァ・カッセルの、まるで妖精のような美貌にもため息が出る。ご両親の良いとこ取りですな!



















