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TOKYOタクシー (2025):映画短評

2025年11月21日公開 103分

TOKYOタクシー
(C) 2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

森 直人

このカップル(W主演キャスト)の相性の良さが掛ける魔法

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

『ハウルの動く城』(04年)のソフィー(倍賞千恵子)とハウル(木村拓哉)が、今度は実写で共演! お話の構造自体はオリジナルの『パリタクシー』とほぼ同じだが、こちらの印象は東京~横浜をめぐる『ローマの休日』的な「一日デート」の趣。木村拓哉の傾聴力とエスコートが素敵で、小粋なロマンティックコメディに近い味わいがある。

内容のメインはむしろ回想ドラマで、戦争~戦後の日本社会で支配的だった男性優位を打つ視座も『パリタクシー』を踏まえたもの。イタリア映画『ドマーニ! 愛のことづて』等にも通じる主題だ。ここには昭和を駆け抜けた映画作家としての、山田洋次監督の真摯な贖罪と反省が込められている気もする。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

老いも若きも、今を生きている

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 木村拓哉という切り札を出してきたことに身構える必要はなく、“こういう役者の使い方もあるのか!”と、山田洋次監督の演出の妙に引き込まれた。

 回想シーンを除けば、ほぼ木村と倍賞千恵子のふたり芝居。山田監督の最近の作品に通じる戦争話を交えつつも、人生最後の楽しみを満喫しようとする者と寄り添う者、ゲストとホストの交流はユーモラスで温かい。絶妙なコメディ演出に応えたふたりの妙演にも魅入る。

 生きることは重くもなるし、軽くもなる。考え方次第で重力を異ならせていく、そんな人生のドラマを凝縮したかのよう。今を生きる人々の描写に、昭和ノスタルジーでは終わらせない気概を感じた。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

想像以上の軽やかな物語

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

特別出演枠ではない形で木村拓哉が2番手を務めるというのはいつ以来になるのでしょうか?それもこれも山田洋次監督&倍賞千恵子主演という陣容だからなしえたこと。木村拓哉もいつかは助演に回る頻度の方が勝る日が来るかと思いますが、その大きな序章と言える一本になりました。大ベテランの山田洋次監督ですが、近年はその積み重ねられたキャリアと反比例するかのように軽やかなドラマが続きます。撮影手法もバーチャルプロダクションを活用するなどここへ来てまだまだ好奇心旺盛ですね。過去パートも重く描き過ぎないのも好印象。そして倍賞千恵子のチャーミングさは忘れがたいものになりました。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

受けに徹した木村拓哉の美意識で、わかっている結末も別次元へ

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

原案のフランス映画『パリタクシー』は観た人それぞれが生き方を見つめ直す物語で、予想外の感動を誘ったが、そのスピリットを真っ直ぐに踏襲。どんな職業でも一期一会で誰かの人生を変えられるという真理を信じたくなる。
タクシー運転手の木村拓哉は、あくまでも客の言葉に従い、想いに寄り添う役どころ。その立ち位置を“わきまえた”表現はキャリアの中でも特別な印象で、こちらの心を揺さぶるシーンでも引き算の名演技をみせたと実感する。オリジナル版を観て展開を予想した人にも、クライマックスの感動はひとしおのはず。
メインとなる運転シーンは、すべてスタジオ撮影であり、東京や横浜の風景があまりに美しく合成されて驚くばかり。

この短評にはネタバレを含んでいます
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