オデュッセイア (2026):映画短評

2026年9月11日公開 172分

オデュッセイア
(C) 2026 UNIVERSAL STUDIOS

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.6

なかざわひでゆき

圧巻のC・ノーラン流神話ファンタジー超大作

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 神話を基にした古代ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」をクリストファー・ノーランが映画化。トロイア戦争で勝利したものの帰郷できなくなったイタケ王オデュッセウス、父王の消息を求めて危険な旅へ出る息子テレマコス、夫の不在中に王位を狙う者たちから国を守らんとする妻ペネロペの物語が描かれる。ハリーハウゼンの『アルゴ探検隊の大冒険』や『タイタンの戦い』に敬意を表しつつ、圧倒的なリアリズムで神話ファンタジーの世界を再現した極めてノーランらしい超大作。明確な反戦メッセージを込めつつ、単純明快で分かりやすい娯楽映画に徹しており、近年のノーラン作品=難解という先入観を持つ観客にも受け入れられるはずだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

英雄談では終わらない現代的スペクタクル

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 トロイア戦争に関する映画はこれまでにも多くあったし、ホメロスの叙事詩を題材にしたことも目新しくはない。さて、ノーランはどう描くのか? 

 結論を言うと見応えがあるばかりか、今の時代に通じる傑作。神話色は極力抑えられ、オデュッセウスの英雄性も強調せず、自然の美しさと暗闇の怪しさを生かしたスペクタクルを展開させる。とりわけ、ノーラン作品らしい時制の入れ替えが効いており、中盤に来るはずの“トロイの木馬”を後半に持ってきている点が巧い。木馬内の描写にも凄みを覚えた。

 俳優は皆大熱演だが、とくに帰らぬ父のミステリーを探る王子にふんしたT・ホランドが物語の牽引者として存在感を示す。

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斉藤 博昭

神話の時代に没入させる怒涛の瞬間が何度も

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

何度も息をのむ瞬間が訪れる。
神話世界の「恐ろしいもの」に対峙する複数のシーンは、映像の怒涛感に全身で打ちのめされる。トロイの木馬まわりの寂漠さ、息苦しいほどの秘密など見どころが次々と。
ギリシャ神話の「ゼウスの掟」を知らないと本質を理解できないという批評も見るが、知らなくても大丈夫では?
一方で見せ場となるバトルシークエンスの編集は、その落ち着きない目まぐるしさで凡百のアクション映画と似たりよったり。全体にドラマ部分のメリハリ感も薄い。そしてマット・デイモンの熱演は評価するも、俳優としての魅力と、この役の違和感が最後までまとわりついた。それも含め、オースルターキャストが生きたかどうかは疑問。

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平沢 薫

ノーラン監督が古代叙事詩を独自の解釈で描く

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 クリストファー・ノーラン監督が、古代ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」を、彼独自の解釈で描く。これは何を描く物語なのか。主人公はなぜ長年の間、帰郷できなかったのか。監督の意図が、明確に、端的に、打ち出され、そのまま伝わってくる。

 そういう物語を描き出すノーラン監督の映像の手触りが、いつにも増して生々しい。原作にある幻想的、神話的な要素は映画にも登場し、通常ならその表現には適さなそうな、いつものノーラン流のリアリズムで描かれながら、奇妙な魅力を放つ。古代ギリシャの夜は、あたりを照らすものが松明しかなく、夜の暗さが濃いことが恐ろしい。その暗さに胸騒ぎが止まらない。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

ノーランと映画の一つの到達点

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

クリストファー・ノーランの究極の超大作。物語やテーマのスケール感、主演級を揃えたキャストの並びからしてもこれ以上、壮大な映画は作ることはできないのではないかと思わされた一本。これほどの映画を撮り上げてしまったノーランは果たして次回はどんな映画を撮るか?どんな映画を撮ることができるか?今から気になるところです。2時間52分の上映時間もこの内容なら納得です。とにかく一つ一つの場面に異常なほどに手間暇がかかっているのがひしひしと伝わってきました。全編IMAXの撮影ということで可能であればIMAXシアターでの鑑賞をお薦めします。

この短評にはネタバレを含んでいます
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