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ホーリー・カウ (2024):映画短評

2025年10月10日公開 92分

ホーリー・カウ
(C) 2024 - EX NIHILO - FRANCE 3 CINEMA - AUVERGNE RHONE ALPES CINEMA

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

なかざわひでゆき

人生にもチーズ作りにも近道などなし!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 舞台はチーズの生産地であるフランスの田舎、主人公は酒と喧嘩と遊びに明け暮れる酪農家のドラ息子。父親が急死して生活に困った彼は、チーズのコンテストで優勝したら大金が貰えるんか!それって楽勝じゃね!?と一念発起。同業者から盗んだ牛乳を使い、ろくに知識もないのにチーズ作りを始めるのだが…?てなわけで、世の中を舐めきった田舎のマイルドヤンキーが、人生にもチーズ作りにも安易な近道などないことを学ぶというお話。実際にチーズの生産地でロケし、キャストも全員が素人のローカル住民というネオレアリスモ方式を用いて、今どきのフランス農村地帯の赤裸々な青春群像をユーモラスに描く。なんともチャーミングな映画だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

陽光が溢れる村の空気が気持ちいい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 溢れる陽光。フランスの田舎のチーズ作りをする村。牛たちが日向ぼっこをする緑の草原。納屋に積まれた干し草が、降り注ぐ光に金色に輝く。その土地で子供たちが生きていく。そこにある空気が気持ちいい。

 父子家庭の父が急死し、まだ7歳の妹と2人で生きていくことになった18歳の少年が、コンテストの賞金のため、父と同じチーズ作りをしようとするが、うまくいかない。少年は短気でケンカ早いが、幼い妹の世話を投げ出さないし、父の死の痛みを口に出さない。そんな本人も気づいていない強さで、チーズを作り続ける。ケンカした友人たちやガールフレンドと仲直りする時に、少年も相手も、行動がさっぱりしていて爽快。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

絶品のローカル地産青春映画!

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

サプライズ級の傑作。新鋭ルイーズ・クルヴォワジエ監督(94年生)の地元であるフランス東部ジュラ地方の田舎町を舞台に、従来の仏映画では中々見られなかった新鮮な光景が広がる。18歳のやんちゃな少年トトンヌが父の急逝をきっかけに、家業のコンテチーズ作りに初めて向き合う。この種の内容には珍しく“家父長制的な抑圧”は排され、少年が自らの道を模索する過程が爽やかに映し出される。

教育的視座ではなく、リアルな生活の内側から有機的に紡いでいく物語の豊饒さ。キャストは全員本物の村人で、監督の家族が音楽や美術を務める家内制工業的な制作スタイルも魅力だ。伝統的なチーズ作りの工程には『アルプスの少女ハイジ』感あり!

この短評にはネタバレを含んでいます
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