バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語 (2025):映画短評
これだからドキュメンタリーは面白い
トーハクの「浮世絵現代展」の制作過程に密着した松本貴子監督。その模様はNHK BS「浮世絵れぼりゅーしょん 令和の写楽を探せ」として放送済み。ほぼ同じ映像素材だが、ナレーションの有無や音楽、どこに焦点を当てるかでこうも印象が異なるのかと、ドキュメンタリーの奥深さを堪能できるに違いない。映画版は草間彌生らの作品を浮世絵にする難題に挑んだアダチ版画研究所の職人たちとその技に、よりフォーカス。一度途絶えかけた歴史を持つ芸術に新たな輝きを持って蘇らせる若き職人たちの姿は眩しい限りだが、ラストにこの映像を持ってくるとは! 文化の継承問題を他人事にさせない松本監督の策略に一本取取られた。
この短評にはネタバレを含んでいます



















