ロスト・バス (2025):映画短評
ライター2人の平均評価: 4
この迫力とリアリティはさすがグリーングラス
ドキュメンタリーのようなリアルさとたっぷりの迫力で実話を語ることにおいて、ポール・グリーングラスに勝る監督はいない。今作もまるで自分がそこにいるかのように感じ、終始、手に汗を握ってしまう。L.A.では今年初めに山火事があったばかりとあり、個人的にはトラウマになりそうだった。しかも22人の子供たちの命が脅かされているのだから、恐怖と緊張は半端ではない。疲れる映画ではあるが、一方で最後には希望も与えてくれる。キャストに本物の消防士らを起用し、彼らに敬意を捧げつつ映画のリアリティをさらに向上させるのも、グリーングラスらしい。出番は限られているが、マコノヒーが実の息子、母と共演するのも話題。
山火事の恐ろしさ、脱出の難しさが映画のスペクタクルに昇華
実際に起こった山火事を基にしつつ、記憶が生々しい2025年初めのLAの災害を重ねて観てしまう…。これも映画が起こす予期せぬ“事象”だろう。
冒頭から強風、岩崩れなどで異様レベルの緊迫感が届けられ、燃える自宅からの脱出劇など怒涛の勢いにのまれていく。メインとなるスクールバスでの生存劇では「中にいれば安全」という常識も吹っ飛び、意外な盲点がスリルを高めたりも。
グリーングラス監督らしく、本物の消防士、演技未経験の子供たちをキャスティングしているが“作られていない”表情の効果は今回も絶大。特殊効果も巧みとはいえ、全編で恐怖を増幅させる炎のビジュアルは、この種の作品でも最上級のリアリティを伴っている。



















