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殺し屋のプロット (2023):映画短評

2025年12月5日公開 115分

殺し屋のプロット
(C) 2023 HIDDEN HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

平沢 薫

マイケル・キートンが今、描きたい男を演じる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 マイケル・キートンが脚本に惚れ込み、主演と監督を兼任して演じるのは、かつては大学で教鞭を取り、戦争を経験して、静かな殺し屋になった男。彼は、健忘症が急速に進む難病を患って引退を決意するが、その矢先、それまで疎遠だった息子に助けを求められ、彼を救うためのプロットを考案する。

 そこから2つのドラマが展開。息子を救うプロットの内容は明かされず、観客は彼の行動を見ながら推理していくことになる。並行して主人公の病状が進み、彼が計画を実行できるのかが危ぶまれる事態が何度も生じ、首尾を見届けずにはいられなくなる。

 主人公の先輩でよき友人の役を、アル・パチーノが軽妙かつ存在感たっぷりに演じる。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

切実な役どころで自らのキャリアに喝采を送ったような奇跡の傑作

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ある程度、年齢を重ねた俳優にとって記憶が薄れる役はチャレンジであり、演じ甲斐を噛みしめて過去のキャリアを全投入できると、今作のマイケル・キートンで再認識する。有能なプロフェッショナルが突然、そして急速に能力を失うプロセスは生々しく切実。
中盤の重要なシーンでは「殺し屋の冷静さ」「明日の自分への怯え」「目の前の相手への複雑な愛情」をミックスさせた高難度の表現を、しかも自ら監督として極上の演出で見せ切るという奇跡の時間が流れる。
あまりに崇高な結末も「バットマン」「バードマン」などキートンの当たり役を重ねれば、さまざまな意味が見えてくるはず。まさにこれは表現者の最高の集大成。心の底から打ち震えた。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

ちょっと違った、印象に残るL.A.ノワール

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

監督も兼任することで、マイケル・キートンは最高の演技の見せ場を得た。すごいスピードで記憶を失っていくという避けられないリアルに直面する中、疎遠になっていた息子を助けるはめになる主人公の複雑な心境を、キートンは、言葉でなく細かい表情や「間」、しぐさなどで、見事に表現していくのだ。記憶を失うという設定は、スリラーの定番である「時間との闘い」要素だけでなく、主人公の内面の探索を引っ張る要素も提供する。小さなところでは、同僚よりもずっと鋭く賢い刑事が日系人女性だというのも良い。完璧とは言えないものの、ちょっと違ったL.A.ノワールで、印象に残る。70代にして自分に挑戦し続けるキートンに拍手。

この短評にはネタバレを含んでいます
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