ナギダイアリー (2026):映画短評
ライター2人の平均評価: 4.5
自分ともう一人の自分の物語
深田晃司監督がなんと9年も費やして仕上げたというヒューマンドラマ。そこまで大きな出来事が起きるわけではないものの、自分が出逢うもう一人の自分を描いた面白い作りの映画になっていました。都市部から離れ、自然が豊かな土地では流れる時間も自然と緩やかになり、それまで意識しなかったようなことが思い浮かんでくるという流れは短いテンポで答えを求め続けられている現代社会とは真逆のもので、久しく味わっていなかった感覚を味わうことができます。そのきっかけに彫刻という創作行為が使われるのも巧い選択。メイン3人はもちろん脇の面々も好演が光る。
ドラマの核心、それぞれの心情が深く鋭く解かれる映画的歓び
「ここが素晴らしい」と説明しづらい。しかも、めちゃくちゃ劇的な何かが起こるわけでもない。それなのに不思議な魅力に心が囚われる。
メイン4人の登場人物、それぞれの実状や内面が徐々にあらわになっていくが、それが人間関係を綴るドラマに見事にフィット。脚本の巧妙さに恐れ入るばかり。シーンとシーンのつなぎも各心情の揺らぎを伝えるうえで計算されている。作品テーマを深める舞台となる町の現実、映像の感触によるエクスタシー、唐突な展開も「若さ」として眩しく映るなど、あらゆる点で上級の表現に陶酔した。
主演・松たか子とクレジットされるが、実質的な主人公は石橋静河の元義妹で、彼女の変化が「人生の豊かさ」に帰着する。






















