正義廻廊 (2022):映画短評
ライター3人の平均評価: 4
大胆な演出で挑戦状を叩きつける、異色の法廷スリラー
香港で実際に起きた猟奇殺人事件を題材に、しっかりエログロ描写もある三級(成人)指定ながら、メガヒットを記録したのも頷ける社会派エンタメ大作。本作がデビュー作となるホー・チョクティン監督は、IQ127を持つヒトラー崇拝者との共謀罪に問われたIQ84の男をめぐる法廷劇や、九人の“怒れない”陪審員による討論を、いわゆる『羅生門』スタイルで描きつつ、ときに第四の壁を破る大胆な演出で、観る者に挑戦状を叩きつける。おまけに、本作での容疑者役を機に、今や人気コメディアンとなったヨン・ワイロンが放つ不気味さはトラウマものだ。それもあり、138分の長尺であるにも関わらず、没入感はタダモノではない。
猟奇殺人を題材にしたシリアスな社会派の法廷サスペンス
題材は香港で実際に起きた「両親バラバラ殺人事件」。香港映画、猟奇殺人、三級片とくれば、おのずと『八仙飯店之人肉饅頭』とか『香港人肉厨房』を想起する向きも少なくなかろう。本作もかなりグロい描写が含まれているが、しかし基本路線は極めてシリアスな社会派の法廷サスペンス。高い知性と自尊心と自己顕示欲の持ち主で、それゆえ挫折続きの人生に劣等感を拗らせた犯人。しかし焦点となるのは、そんなサイコパスから「共犯者」と名指しされた若者だ。知能が低くて愚鈍で騙されやすい彼が、本当に猟奇殺人の共犯者なのか、それとも濡れ衣なのか。この疑問を通じて陪審員制度の在り方が問われる。懐かしきグロリア・イップの登場も嬉しい。
容疑者2人の心理の解明が痛みと戦慄を呼ぶ
両親殺害の容疑者となった男と、その友人。容疑者2人はそれぞれ、犯人は自分ではなくもう一人の方だと主張するが、実際は何が起きたのか。それが、容疑者だけでなく、彼らの家族、弁護士、裁判の陪審員たちなど、複数の視点から描かれていく------と、それだけならありがちだが、本作の魅力は、真相の解明と並行して、容疑者2人の関係性、感情の動きを、時間を遡って謎解きのように少しずつ明かしていく演出にある。
2人はどのように出会い、どんな関係になっていったのか。その行動の裏で、本当は何を考えていたのか、何を感じていたのか、そして今は何を思っているのか。それが明かされていきながら、痛みと戦慄を呼ぶ。
























