ソング・サング・ブルー (2025):映画短評
ライター4人の平均評価: 3.8
音楽で固く結ばれた夫婦の実話を描く感動作
アメリカには日本の物まね芸人とはまた違った、トリビュート・アクトと呼ばれるジャンルが存在し、中には本家公認で活動しているケースまであったりするのだが、本作はそんなトリビュート業界を舞台にした実話ドラマ。場末のトリビュート・ショーで知り合った男女が、仲間と共に敬愛するニール・ダイアモンドのトリビュートバンドを結成して人気を博すも、とある不幸な事故をきっかけに次々と困難に見舞われる。どんな逆境でも愛する音楽を、愛するパートナーを、そして愛する家族や仲間を決して諦めない。そんな主人公たちの真っ直ぐな生き様とニール・ダイアモンドの名曲群が見事に融合し、えも言われぬ爽やかな感動を与えてくれる。佳作!
曲とドラマ、そのダブル高揚感。人生の喜びと哀しみもダブルで
特に前半、映画としての「ノリ」が絶好調! 冒頭からバンド結成の高揚感に包まれるうえ、ステージおよびリハーサルでの1曲の中に、別の場所/時間のエピソードを挟んだり、あるいは曲で繋いで次のシーンに移るなど編集が絶妙のため、パフォーマンスとドラマの相乗効果で心が躍ってしまう。上質ミュージカルを観ている感覚。
後半も演出スタイルは変わらないのだが、描かれる状況が違ってくるため、だいぶムードは変わってくる。
ニール・ダイアモンドをコピー(歌まね)する主人公を、さらにヒュー・ジャックマンが演じるという、二重の“憑依”も、なかなかに味わい深い。
映画全体としては、人生の喜怒哀楽にじんわりできる良作となった。
ハドソンは実在人物のエッセンスを見事につかんだ
同じ人物、出来事について先にドキュメンタリーが存在する場合、たいていはそちらにかなわない。本作で語られるのは、広く知られていない、地元でまあまあ有名だったレベルの人たちながら、やはりハリウッド俳優起用で脚本ありの映画にすると、良くも悪くも小綺麗になる。起きる悲劇は同じでも、メロドラマふうになり、より暗くなった。とは言え、主演ふたりの相性は抜群。とりわけケイト・ハドソンはクレアのエッセンスをバッチリつかんでいて見事。いくつになっても、どんな困難が訪れても、好きなことを諦めない、夢を追いかけ続けるというメッセージもきちんと伝わってくる。ジャックマンとハドソンの歌声が聴けるのも純粋に楽しい。
古くても、素敵じゃないか!
人生いろいろ。でも結局明るい。主演のH・ジャックマンいわく、「これは労働者階級のお伽話だ」。米中西部ミルウォーキーの歌まね夫婦が、ニール・ダイアモンドの懐メロを武器に快進撃を遂げた実話を映画化。K・ハドソンは時にパッツィ・クラインを力強く歌う。断酒会から始まる物語は、傷を抱えた二人が再生していく姿を温かく照らす。
『ハッスル&フロウ』や『ブラック・スネーク・モーン』など音楽系の傑作で鳴らしてきたブリュワー監督が、今回はざっくり粗縫いの愛嬌に満ちた大衆映画に仕上げた。古き良きアメリカへのささやかな保守回帰にも見えるが、捨て難い美しさとして胸に残る。あとはE・ヴェダー役の彼がもうちょい似てれば!
























