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私がビーバーになる時:映画短評

2026年3月13日公開 104分

私がビーバーになる時
(C) 2026 Disney / Pixar. All Rights Reserved.

ライター7人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

森 直人

「レベル・ガール」の成長譚

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

ビキニ・キルの名曲が勇敢に鳴り響く。オレゴン州の森を守るためビーバー型ロボに意識転送する日系少女の闘いを描いた真正面からの環境アクション寓話だ。『平成狸合戦ぽんぽこ』と『もののけ姫』の影響は明白。政治力学や再開発の利害まで踏み込む姿勢は、ジブリ敬愛と同時にピクサーの攻めの作劇を再確認させる。

2024年末にDEI推進からの方向転換を宣言したピクサーだが、本作は依然として尖った主題を備えつつ、ファミリー向けの間口の広さを失わない。暴力的抗議の是非や共生の可能性といった重い主題を娯楽として成立させる手腕は見事で、興行の大成功もその証左だ。今後も安易な保守回帰に流されず、硬派な路線を貫いて欲しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
大山くまお

悪いのは「対話のテーブルにつこうとしない」側

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

環境保護に燃える主人公がビーバーの体を借りて、環境破壊と開発を進める市長と対決する。しかし、市長を一面的な悪者として描かず、それぞれの論理と正義を尊重しているところがユニーク。悪いのは、対話のテーブルにつかず、一方的な野望で虐殺しようとする側にしているところが非常に現代的。いろいろな為政者の顔が浮かんだ観客も多かったのでは。アクションもド迫力だし、いろいろな映画の小ネタも面白い。それにしても、日本語吹替版のエンディングに本作のテーマをよく表現しているSZA「Save The Day」を使わず、まったく歌詞に意味のないPUFFY「愛のしるし」を選んだ意味がわからない。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

分断と対立の深まる時代に相応しいファミリー向けアニメ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 道路建設計画を推し進める市長によって、亡き祖母と過ごした大切な森が破壊されかけていることに憤慨する大学生メイベル。消えた動物たちが森に戻れば計画は中止されると考えた彼女は、ハイテクロボットのビーバーに自分の意識を転送し、動物社会に紛れ込んで森へ戻るよう説得しようとする…というSFチックなお話。自分の正義を信じて疑わないメイベルが、動物の世界も人間の世界も決して単純ではないことを知り、お互いに歩み寄り話し合い理解し合うことの重要性を学ぶ。世界中で分断と対立が深まる2026年のファミリー向けアニメとして、これほど相応しい物語はなかろう。ピクサーらしいキャラの可愛さや毒の効いたユーモアもナイス。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

“逆『平成狸合戦ぽんぽこ』”で終わらないヤバさ!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

モフモフ動物×環境問題だけに、『アバター』<“逆『平成狸合戦ぽんぽこ』”な設定なのだが、それだけでは終わらないのが、一時期の勢いを取り戻しそうなディズニー/ピクサーのクオリティ。過去作のキャラのカメオ出演やブラックなネタはもちろん、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から『シャークネード』ネタまで、観客に考えさせる隙を一切与えないスピードでブッ込んでくるから、かなりヤバい仕上がりに。弱肉強食の掟を受け入れている状況など、さまざまなテーマも扱いながら、説教臭さをあまり感じさせないうえ、暴走しまくる日系ヒロインを吹き替えた芳根京子の芝居も凄いことになっている!

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猿渡 由紀

このひとときだけでも希望を持てる

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

 笑い、優しさ、アクション、すばらしいメッセージに満ちた、ピクサーらしい傑作。設定だけ聞くと「アバター」みたいだが、そこはさっさとせりふで認識し、その後はオリジナルなストーリーに引き込んでいく。女子大生の主人公はピクサーでは珍しいも、この行動力、熱意、反抗心はこの年齢ならではで、共感度抜群。脚本を共著したのが個人的にピクサー作品のベストのひとつである「あの夏のルカ」(こちらは逆に、人間になる物語)のジェシー・アンドリューズというのは超納得。分断された現代、自分と正反対の価値観の人たちにフラストレーションがたまることだらけなだけに、このひとときだけでも希望と可能性を感じられるのは素敵。

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平沢 薫

モフモフじゃない生き物もいっぱい

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 もしも動物が何を話しているのか分かったら、という誰もが一度は抱いたことがある願望を叶えてくれるのが本作。それが、哺乳類だけでなく、鳥類、魚類、両生類、さらに昆虫にまで及ぶところがポイント。地球はさまざまな生き物で溢れている。お互いに影響し合っている。そして環境が形成される。子供も楽しいおとぎ話的な物語を語りつつ、そういう世界のありようが描かれる。

 森の哺乳類の王はちょっと意外な動物で、ビーバーのキング・ジョージ。彼の性善説な世界観とおおらかな性格は、なるほど王者の風格。彼らの「ビーバーにとって、パーティとは何か」が象徴する価値観にも学ぶところがあるかもしれない。

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斉藤 博昭

芳根京子の声優の才能、大きく開花では?

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

“かわいい系”を予感させつつ、他の生き物との合体に『ザ・フライ』的マッドサイエンス感、肉体の変容に『サブスタンス』のキワモノさも溢れ、その意味で最高! ここまでの奔放さ、マニアックさが、ディズニー本体と違うピクサーらしさだと嬉しく実感。
主人公のキャラはジェンダーの曖昧さを醸し出しながらも「らしさ」を説明的に突っ込まないのが潔い。日系の主人公も貴重で、生活細部に意外な発見が。吹替版の芳根京子は最適な仕事。
ただ、この設定なら「もっと感動できたはず」とも。ラストも含め重要シーンのいくつか、じっくり演出してほしかった。とにかく全編、機関銃のような矢継ぎ早で、近年のハリウッドアニメの過剰さが際立つ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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