白鳥とコウモリ (2026):映画短評
ライター3人の平均評価: 4
東野ミステリーを彩る「グレイ」の存在
東野圭吾の原作を、人間ドラマを得意とする向井康介が脚色し、岸善幸監督が描くというだけで、「間違いない仕上がり」なのは分かるだろう。確かに145分の長尺を魅せ切るのだが、そこには“禁断のバディ”として松村北斗と今田美桜を配した旬なキャスティングの巧さもある。そして、今回も点と線を結びつける見事な狂言回しとしての役割を果たす柄本佑だが、彼が演じる五代刑事が新たな事件に挑む、続編『架空犯』の映像化も楽しみになる。さらに、注目すべきは物語とシンクロする白と黒、そしてグレイが印象的な衣装。おまけに、大森元貴が歌う主題歌「灰色」に至るまで、しっかり東野ミステリーを彩っている。
善悪の複雑な境界線が浮かび上がる良質なマーダー・ミステリー
人望の厚い中年弁護士が他殺体で発見され、田舎暮らしの平凡な老人が容疑者として逮捕される。善良で穏健な父親がなぜ殺されたのか。真面目で温厚な父親がなぜ人を殺めたのか。供述調書の中身に疑問を持った被害者の娘と加害者の息子。本当のことが知りたい。そう考えた2人が協力して調べ始めたところ、遠い過去に埋もれた悲劇と思いがけない真相が浮かび上がる。人間というのは決して白黒で割り切れるものではなく、誰だって加害者になる可能性も被害者になる可能性もある。そんな善悪のグレーゾーンを、当事者ではなく家族の視点から掘り下げていく物語が秀逸。奇を衒わぬ真っ直ぐで真摯な語り口も好感が持てる。
真実で繋がる二人の物語
ある殺人事件の容疑者の息子と被害者の娘。接点を持つことは無いだろうと思われる二人が、互いの父親のとった行動と実際に知っている父親のイメージとの僅かな差異をきっかけに真実を求めて、歪なバディとなっていく。ミステリーやサスペンスはタイトな上映時間の方が集中力を削がれず良いという思いがあるものの、本作のようなヒューマンドラマの要素が強い場合は逆に時間をかけてでも一つ一つを丁寧に深掘りして描いた方が結果的に心に響くものになる。不思議な繋がりを持つキャラクターを松村北斗と今田美桜が好演している。また第三者の視点の持ち主である柄本佑の巧さも光る。
























