フェザーズ その家に巣食うもの (2025):映画短評
ライター3人の平均評価: 3.3
カラスの怪物が、悲しいおまえをあざ笑う
愛する者を失った深い喪失感をモンスターとして具現化している点で、『ババドック 暗闇の魔物』を連想したが、こちらはホラーではなくヒューマンドラマ寄り。
残された者の葛藤を怪現象として表現しつつ、痛みを抱えた人間の再生を説得力とともに表現。アップ多めの映像のなか、ストレートに感情を表現したカンバーバッチの熱演もあって恐怖と切なさ、人間味が入りまじる作品となった。
とはいえ、肝心のモンスターである巨大カラスのビジュアルが印象に残るのも事実。怪異というものは人間の胸の内に潜んでおり、姿を現わすときを待っているのでは?そんなことを考えながら味わった。
絶望からの再生をホラー的メタファーで描く心理ファンタジー
妻を亡くしたことの痛みや悲しみを癒す暇もなく、慣れない家事育児に忙殺されて疲弊していくコミック・アーティストの前に、世にも不気味なカラス男が現れて彼の心をかき乱していく。最愛の人を失った男性の絶望と再生への道を描いたホラー・テイストの心理ファンタジー。カラス男はもちろん、主人公の喪失感や後悔など負の感情を象徴するメタファーだ。その不穏で不快な存在を徐々に受け入れていくことで、やがて心の平穏も取り戻されていく。亡くなった人は帰ってこない。残された者は、その現実と上手く折り合いをつけて生きていくしかない。カンバーバッチの感情表現豊かな芝居とも相まって、なかなか説得力のある映画に仕上がった。
その"羽のあるもの"は何を意味するのか
原題でもある"羽のあるもの"とは何なのか、映画を見ながら考え続けることになる。"それ"は、妻/母親である人物の突然の死後に、夫/子供たちの前に姿を見せるようになるが、出現のたびに姿を変え、正体が掴めない。"それ"と微妙な関係を築いていく主人公をベネディクト・カンバーバッチが巧演。"それ"の声は、チャーリー・カウフマンの『アノマリサ』で主人公の声を務めた英国俳優デヴィッド・シューリスが演じている。
舞台のほとんどは、狭い廊下と階段のいかにも英国風な住居。常に部屋のどこかにある、何かが潜んでいそうな薄暗がりを『セイント・モード/狂信』『愛はステロイド』のベン・フォーデスマンの撮影が映し出す。






















