エレノアってグレイト。 (2025):映画短評
ライター4人の平均評価: 3.3
Greatな女性/才能たちのアンサンブル
S・ヨハンソン、地に足の着いた上質の長編監督デビュー作。老いをめぐる孤独と再生を柔らかく、細やかな呼吸で掬い上げる。新進トリー・ケイメンが祖母の歴史から紡いだ脚本にユダヤ文化の温度を重ね、ジューン・スキッブの茶目っ気と痛みを丁寧に照らし出す。嘘と真実の狭間で揺れる主人公の輪郭が静かに息づいていく。
H・アシュビーの名作『ハロルドとモード』からの影響は大きいはず。そして胸を打つのは学生ニナ(エリン・ケリーマン)と向き合う“モード的役割”に、スキッブとリタ・ゾーハーの二人を実質重ねて置いている点だ。自身もホロコースト体験を持つゾーハーの存在が友情の記憶に深度を与え、スキッブの自由な魂と響き合う。
スカーレット・ヨハンソンが描きたいもの
スカーレット・ヨハンソン初の長編映画監督作は、世代を超えた女性同士の友情、喪失の痛みとその癒しを、柔らかなユーモアを交えて描く。主人公は老婦人だが、老齢を笑いの要素にはしない。ヨハンソンが惚れ込んだ脚本を手掛けたのは、本作が初脚本となるトリー・ケイメン。初の長編監督作に新人の脚本を使う度胸の良さが、ヨハンソン流か。
彼女が初めて監督業に挑戦した2009年のオムニバス映画『ニューヨーク、アイラブユー』収録の『さすらいびとの靴』は、かつてのニューヨークをセピア色のスタイリッシュな映像で描く端正な短編。今回も、現在のニューヨークのさまざまな風景が描かれ、彼女の生まれ育った街への愛に溢れている。
共感できるテーマが詰まっている
大切な人を失った悲しみ。同居か施設に入るか。思いがけぬ友情。スカーレット・ヨハンソンの監督デビュー作には、共感できるテーマが多数。ヨハンソン自身にもホロコーストを経験した親族がいるし、実際の生存者を起用するなど、誠意と配慮はしっかりと感じられる。しかし、エレノアが思わずついてしまう「嘘」が、「心温まる映画」には深刻すぎるのだ。そこにエレノアのお茶目さ、エネルギッシュさ、ユーモアのセンスを入れ、ジューン・スキッブがまた見事にそれをこなすために、トーンがばらついてしまった。自分で招いた重い出来事の結末もやや安易な感じ。しかしこれはヨハンソンの最初の挑戦。次にどんな話をどう語るのか期待したい。
御年94歳! ジューン・スキッブが素晴らしい
スカーレット・ヨハンソンの初監督作品は、彼女のルーツであるユダヤ人の歴史、文化、信仰をベースに、親友を亡くした94歳のおばあちゃんと母を亡くしたジャーナリスト志望の若い女性の友情を描いた物語。とにもかくにも口八丁のジューン・スキップが素晴らしい(現在は96歳!)。いつも元気で愛嬌もあってファックポーズだってお手のもの。親しい人を失った悲しみを受け入れるストーリーはどちらかいうと甘口だが、ホロコーストの悲劇はしっかり伝える(ホロコースト生存者を演じたリタ・ゾ―ハーは実際に強制収容所生まれ)。しかし、どうしても頭にチラつくのは、ユダヤ人国家のイスラエルがガザを攻撃し続けていることだ。























