ポンペイ、雲の下に生きる (2025):映画短評

2026年10月2日公開 119分

ポンペイ、雲の下に生きる
(C) 21UNO FILM SRL / STEMAL ENTERTAINMENT SRL 2025
森 直人

考古学的視座と“未来の遺物“としての現在

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

番外編的だった『旅するローマ教皇』を経て、ロージ監督は再び本道に回帰した。モザイクのように積み重ねられるポンペイとナポリの人々の姿。発掘に携わる研究者、子供たちを見守る市井の人、戦時下のウクライナへの戻りを控えたシリア人船員。モノクローム映像は現実を記録しながらも、どこか夢幻的な気配を帯びる。

ヴェスヴィオ火山の麓の日常に溶け込みながら、土地に刻まれた時間の層が浮かび上がり、歴史と現在がゆるやかに結ばれていく。コクトーの言葉に加え、ロッセリーニ『イタリア旅行』の引用も象徴的。遺跡を通して生と死を見つめた古典の精神が現代へ受け継がれる。ロージは滅びの記憶の中から、人間の営みを静謐に掬い上げた。

この短評にはネタバレを含んでいます

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