ひたすら斬り続ける男を"数"と"時間"で描く

2017年4月29日 平沢 薫 無限の住人 ★★★★★ ★★★★★

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無限の住人

 ひたすら斬り続ける。何人も斬り続ける。何分もの間ずっと斬り続ける。その人数が膨大なうえに、刀は肉をスパッと切るのではなく、刃は人体の脂肪と血塊に抵抗されながらザクリザクリと不器用に肉を斬っていくので、斬っていく時間が長くなる。斬り続けた刀は切れ味が鈍っていくが、それでも斬る。そのように、斬る相手の数の多さと時間の長さによって、"斬られても死ぬことなく、ただ斬り続けるしかない男"という主人公が描かれていく。
 登場人物たちの髪型や衣服の形や色はコミック原作時代劇アクションの定石通り、コミックそっくりの非写実系。それらの色形と、斬り続ける時間の重さの対比が面白い。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」の脚本家チャーリー・カウフマン監督・脚色の「もう終わりにしよう。」@Netflix、映画だけ見ても面白いが、イアン・リードの同名小説(ハヤカワ文庫)を読むと、カウフマンがこの小説をどう読んだのかが見えてきて面白さ倍増。

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