チャドのカリスマ性が生きるクライムアクション

B級の香りもするが、満足度の高い犯罪ドラマ。主人公デイヴィスが悲劇的な過去ゆえに正義のためなら犯人射殺も厭わず、権力とも無縁な刑事という設定がいい。私立探偵シャフトや刑事ルーサーを彷彿させるキャラで、C・ボーズマンのカリスマ性が生きる。しかし犯人側にも同情の余地がある上、演じるのが主演級スターなので、単なる勧善懲悪で終わらない気配が濃厚。さらにNYPDとFBIの縄張り争いなども絡み、事態は二転三転。TV界のベテランであるB・カーク監督は、観客の心を掴む演出が上手い。冒頭の強盗シーンから「何かおかしい」と思わせるし、デイヴィスの頭に浮かび始める疑念を見る側が同時に感じる仕掛けとなっている。