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貞子3D2 (2013):映画短評

貞子3D2 (2013)

2013年8月30日公開 96分

貞子3D2
(C) 2013『貞子3D2』製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 2

清水 節

前作超えに必要なのは、ネタ化を極める方向だったのではないか

清水 節 評価: ★★★★★ ★★★★★

 劇場限定の「スマ4D」を鑑賞した。飛び出す長髪女に加え、スマホと連動させて4次元体験を味わわせようという趣向。恐怖感を削ぎ落としてキワモノ・キャラで勝負した前作の延長線上に、出るべくして出た企画であろう。逃げ惑う田口浩正によるガイド映像に始まり、本編中の映像とシンクロしてスマホから電話が掛かり、あるいは指図を受けたりする。しかし、アトラクション的興味と集中力の持続は、せいぜい20分程度まで。バイブが作動して感染率上昇が表示されるというパターン化は、およそ恐怖演出には相容れない。
 
 中身はどうか。貞子をクリーチャー化させた前作への批判に奮起したのか、まさかの正攻法。しかし本作の「間」は、恐怖感を醸成するためのものではなく、思わせぶりな設定を引き延ばすだけの暗鬱としたのろさにすぎない。貞子から派生した物語の真相に意外性はなく、教授の×××化と刑事を阻んだ××に至っては文脈上、意味不明。そこに笑いも怒りも生まれない。あらゆる意味で前作を超えるためには、貞子を世界中に出現させたり、巨大化させたり…というネタ化を極める方向こそが、この映画の作り手たちにとっては正しい選択だったのではないか。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

やはりJホラーは終わってしまったのか

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

貞子をホラークリーチャー化させてしまった前作から5年後を描く続編。今度は貞子が大量増殖・・・というのが売り文句なのだが、それにしては地味な作品だ。ひとまず申し訳程度の地下鉄パニックとクライマックスの洪水シーンが見せ場ではあるものの、あとはもったいぶった演出で終始のらりくらり。思わせぶりなシーンも大半が意味不明・・・いや、そもそも意味などもともとないのだろう。

しかし、この病的なまでに鬱屈とした暗さはなんなのか。ワケもなく不愉快な人間描写は前作でも気になったポイントだが、今回はそれに加えてやたらと画面が暗い。アパートも病院も刑務所も、日が暮れたって誰も電気をつけようとはしない。まるで電気料金の値上げで日本全国節電中といった感じだ。人間も社会もお先真っ暗な世界。観客の不安と恐怖を煽るための演出なのだろうが、残念ながらかえって不自然さが際立つ。クライマックスで明かされる“驚愕の真実”にしろ、ラストの???な落としどころにしろ、全体的に狙いすぎて外してしまった感は否めない。ヒロインの瀧本美織も演技力で前作の石原さとみに遠く及ばず。やはりJホラーは既に終わってしまったのか。

この短評にはネタバレを含んでいます
中山 治美

スマ4Dで、黒沢清監督『回路』の偉大さを噛み締める

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

 抵抗はあったが体感しなければ真偽は分からないと、話題のスマ4Dで観賞。本編上映前に俳優・田口浩正主演のガイダンス映像が流れ、最初に機内モード(電波オフモード)にするよう指示される。これで多くの観客の懸念材料である、上映中の外との通信は遮断。3D眼鏡を装着しているため、スマホ画面の明るさも思いのほか気にならない。始まってしまえば初体験の物珍しさもあって、間違いなく楽しめるだろう。ただし途中、物語と連動して携帯が鳴ったり、画面をこする仕掛けもあり、スクリーンから目を離す機会が多々ある。集中力は途切れ、肝心な物語から置いてけぼりを食う人も多いだろう。
 これはアトラクションと完全に割り切るのが賢明だ。そもそも『リング』しかり日本のホラーは、映像的な仕掛けに頼るより、心理描写で恐怖を生み出すのが巧みで、それがJホラーとして海外で支持された理由でもある。本作同様に呪いの動画がネットを介して蔓延する『回路』なんて、静かに迫る死の恐怖がどれほど身を震わしたことか。ただ、映画館の新たな活用法としての可能性は広がったのではないだろうか? そこは評価したい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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