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おしえて!ドクター・ルース (2019):映画短評

おしえて!ドクター・ルース (2019)

2019年8月30日公開 100分

おしえて!ドクター・ルース

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

中山 治美

2人のルースが存在するアメリカに乾杯!

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

『RGB 最強の85才』の最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグと、90歳のセックス・セラピストが同時代に活躍している米国って‼︎ 改めて民主主義国家が育んできた歴史の重さを実感するだろう。しかも本作で明かされた彼女の生い立ちは、多くの移民が辿ってきたであろう道。1人の半生を紐解きながら移民政策、さらには中絶禁止法といった現政権が抱える問題を巧みな構成で観客に提示する。女性の生き方を通して社会を描き続けてきた監督の視点が生きている。そして「バリバラ」の2.4時間TVでも実証されたが、性の悩みを解決することがいかに人の人生を救うか。2人のルースのいる米国に羨望を抱かずにはいられない。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

虐殺、紛争を生き延びて性のカリスマとなった女性の記録

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 90歳の現役セックス・セラピストの人生をたどるドキュメンタリーと聞けば色眼鏡で見てしまいそうだが、見終わる頃には色眼鏡は消えている。

 ナチスの虐殺やパレスチナ紛争を生き延びた、そんな彼女がどのようにしてセックス・ドクターとなったのか? 世の中から“劣る”というレッテルを貼られた彼女だから“ヘンタイ”と呼ばれかねないセクシャル・マイノリティにも優しくなる。性生活の悩みだけでなくアイデンティティの危機をも救う、そんな温かさに彼女の強さが見える。

 自身の恋愛体験を語るインタビューが、悩める者へのアドバイスに説得力を持たせる巧みな構成。ドキュメンタリーとしてのセンスの良さをそこに感じた。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

苦難の人生を乗り越え明るく性を語るドクター・ルースに感動!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 90歳を過ぎた今もなお現役。明るく真面目にセックスを語る小柄な可愛いお婆ちゃんドクター・ルースは、’80年代当時まだ保守的だったアメリカの性教育に革命をもたらし、メディアの寵児となった偉大なセックス・セラピストだ。「私はノーマルという言葉が嫌い」「なによりも大切なのは教育」「大人同士が合意の上で行うことにタブーはない」そう語る彼女の言葉には、ナチスに迫害されたユダヤ系ドイツ人として、性差別ゆえ教育の機会を奪われた女性として、なによりもそうした偏見と逆境を生き抜いて人生を切り拓いた先駆者としての強い信念がある。セックスへの理解を深めることは、人間への理解を深めることでもあるのだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

彼女は"ノーマルというものはない"という信念を貫く

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 彼女が90歳の今も貫く信念、「ノーマルというものを設定して、それ以外を排除するという考え方は間違っている」「あらゆる人間は尊厳を持って扱われなければならない」という信条は、彼女がユダヤ系ドイツ人として生まれ、子供時代に突然、ナチスによって尊厳を持たない存在として扱われたことから生じた。彼女はこの信念を実践する場として、80年代当時タブー視されていた性的嗜好という分野に挑んだように見える。そんな人物の話なのに映画が超人的な偉人伝になっていないのは、彼女が2度の結婚の失敗や自分の容姿の問題等を語る時のユーモアや愛らしさ、何より彼女の笑顔の持つ力のせいだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

おばあちゃん先生は元スナイパー!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

華麗なる恋愛遍歴に、ぶっちゃけトーク&アドバイス。さらに、卒寿(90歳)を過ぎてもエネルギッシュで活動的という意味で、瀬戸内寂聴にも通じるドクター・ルース。曖昧な理由で“ノーマル”という言葉を嫌うセックス・セラピストとしての彼女の顔が紹介されると同時に、ヨーロッパ童話をイメージさせるアニメで語られる回想シーンが印象的。さらに、ホロコースト孤児から名スナイパーへ変貌を遂げる事実が衝撃的! ライアン・ホワイト監督は、元ビートルズの秘書を取材した『愛しのフリーダ』に続き、過去に囚われず、今もチャーミングで人間力ある被写体に迫っており、今回もその生き様から学ぶべきことが多い。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

可愛くて面白いだけじゃなかった素顔に感銘!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

私の知るドクター・ルースといえば、トーク番組でぶっちゃけ話をする面白くて可愛いおばちゃまゲスト。だから本作を見て初めて、彼女がアメリカ人の性生活に与えたインパクトの大きさを知った。ドクター・ルースの半生が本人の日記朗読や写真、インタビューから徐々に形成される構成もわかりやすく、アニメ仕立ての幼少期がいい意味でスパイスとなっている。元々の性格もあるだろうが、ナチス政権下で悲惨な目に遭ったからこそ、LGBTQをあるがままに受け入れ、生と性を謳歌する人生観が養われたのだろう。避妊や中絶に関しては早くから声を上げ、90歳を超えた現在もエネルギッシュに活躍するセラピストの素顔に感銘を受けた!

この短評にはネタバレを含んでいます
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