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ジャスト6.5 闘いの証 (2019):映画短評

ジャスト6.5 闘いの証 (2019)

2021年1月16日公開 134分

ジャスト6.5 闘いの証
(C) Iranian Independents

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

なかざわひでゆき

徹底したリアリズムで描かれるイラン版麻薬戦争の最前線

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 いやあ、これは驚いた。警察の麻薬撲滅特捜チームと麻薬組織の激しい攻防戦を描いたイラン版『ボーダーライン』。末端の売人ホームレスの一斉検挙から始まってトップのボスを追いつめていくまでを、徹底したリアリズムとバイオレンス、そしてダイナミックなカメラワークの畳みかけで描いていく。その過程で、麻薬汚染の元凶である庶民の凄まじい貧困、弱者の人権を蔑ろにする理不尽な社会システム、さらには権力を笠に着た警察の横暴といった現代イラン社会の闇がこれでもかと暴かれていくのだ。2時間越えの長尺もあっという間の迫力。娯楽アクションとしても社会派ドラマとしても第一級の出来栄えである。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

イランの街や刑務所の匂いも伝わってくる、異様な「濃密」感

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

麻薬を隠し持つ男を刑事が追うアクションから、中毒者であふれ、死体も転がるスラムへ導かれる冒頭のシークエンスは、豪快なカメラワークも効果的で、ハリウッド大作並みのダイナミズムと緊張感。その後も麻薬組織とつながる家での待ち伏せ、日本への密輸を空港で阻止する攻防など、ハイテンションで強引なまでの捜査に圧倒され、極めつけは、スシ詰め状態の監房シーンで、男たちの体臭が観ているこちらに伝わってくるほどの密室臨場体験。

ドラマ部分では、捜査の中心となる刑事のプレッシャーと、犯罪者側との取引で魂を売るかどうかの葛藤に、イランの現実が見え隠れする。何度かストーリーが停滞する時間もあるが、ラストの衝撃度は高い。

この短評にはネタバレを含んでいます
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