エンパイア・オブ・ライト (2022) 映画短評

イギリスの海辺の町にて、私たちの小さな「帝国」
映画(館)についてのオマージュ映画が相次ぐ中で、『エンドロールのつづき』(パン・ナリン)が自己実現&映画の原理論、『銀平町シネマブルース』(城定秀夫)が人間群像メインとしたら、サム・メンデス監督の本作は最も社会派アプローチ。1980~81年の英国を舞台に、スキンヘッズ(ナショナル・フロント)とサッチャーによる右傾化の影を反映。映画館がはみ出し者達のサンクチュアリとして機能する優しい視座は『銀平町』に通じる。
ある女性の孤独と揺れを描く主軸は「オリヴィア・コールマンもの」というワンジャンルの迫力も湛えつつ、マイケル・ウォードが抜群。2 Toneなど音楽、さらに文学系のアイテムの使い方もいい。
この短評にはネタバレを含んでいます