雪風 YUKIKAZE (2025):映画短評
ライター2人の平均評価: 3
映画的に真っ直ぐなメッセージが誠実に伝わってくる
80年前の戦時下で、日本の駆逐艦の艦長が漏らす「あるセリフ」が本作の重要なメッセージとなるが、おそらく当時の同じ立場の人には言えない言葉であり、だからこそ映画的に現代のわれわれに突き刺さる。
小型艦の雪風は攻撃もしつつ、味方の艦を護衛する役割が大きく、本作はその部分がフィーチャーされるので、全体に実直&誠実な仕上がりになった。なので、壮大スケールなアクションよりも、人間同士の絆、誰かを「助ける」エピソードが強調され、全編で命の大切さを訴えてくる。その部分が押し付けがましくない演出も好感。
竹野内豊と玉木宏の別方向の演技がうまく機能。俳優陣のつねに汗まみれな姿が、艦内の暑さと緊迫を体感させる。
”竹野内豊力”で見せる映画
80年目の8月15日に公開される戦争映画。当時、各地で様々な戦闘が繰り広げられていた中で選ばれたのは”幸運艦”と呼ばれた一隻の駆逐艦とそれに関わる人々。小回りが効くことを活かして様々な支援任務に就いた雪風、その雪風を舞台にして人間ドラマが展開されていきます。戦時中という特殊な状況で駆逐艦内部という限定的な舞台と人数の中で展開されるドラマはどうしても制限がかかってしまいますが、そこを竹野内豊の硬軟自在な存在感を主軸に置いたことで2時間の物語に起伏を持たせ最後まで見せ切っています。竹野内豊の持つ不思議な存在感を実感できました。





















