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兄を持ち運べるサイズに:映画短評

2025年11月28日公開 126分

兄を持ち運べるサイズに
(C) 2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.7

なかざわひでゆき

一筋縄ではいかない家族模様を温かい眼差しで見つめた佳作

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 社交的で子供と動物が大好きなお調子者の善人だが、しかしその一方で金にだらしなくて気まぐれで身勝手な自己中人間で、周囲に迷惑ばかりかけた「愛すべき問題児」がポックリと死亡。後始末のために集まった実の妹や別れた妻子らの悲喜交々な人間模様を通じて、身近な人々も知らなかった故人の意外な側面が詳らかにされ、それぞれの抱えていた故人に対するわだかまりも徐々に解けていく。身内に問題児がいる人なら身につまされるお話。「それでも幸せな時期だってあった」という台詞はその通りで、だからこそ憎みようがなかったりする。そんな良くも悪くも一筋縄ではいかない家族を、暖かな眼差しで描いた監督の優しさにホッとさせられる。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

家族だからこその自責と折り合う、喪の仕事

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 “支えであり、呪縛ではない”――冒頭で提示されるこの言葉の意味を考えながら観ると、味わいが深まってくる。

 ある男の急逝を軸にして、その妹、元妻、娘、息子の喪失と再生のドラマを紡ぐ。兄、夫、父という故人の顔それぞれを知り、自責の念を和らげていく人々の心模様が丹念に描かれ、観客の心にも温かく染みわたってくる。

 家族の物語を死別という要素を織り込みながら描く中野監督の作品の中で本作は、より“喪の仕事”に寄ったドラマ。そのために必要な、家族間のつながりについて考えさせられた。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

いろんな意味で想定内の家族ドラマ

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~』から18年余り。カエルの子はカエルと言わんばかりにオダギリジョーが脱力感満載でお届けする愛すべきダメ男。そこに、ちょっとズレた実妹役の柴咲コウと元妻役の満島ひかりの掛け合いを加え、クスリ笑いやら「トロイメライ」などの劇伴やら、いろんな意味であざとく、想定内の安心感優先の中野量太監督作。もちろん、『バーニーズ あぶない!?ウィークエンド』みたいなヤバさもない中、「突然死で生前の悪行すべてがチャラに」という家族ドラマとして綺麗すぎる展開はモヤモヤするし、126分という尺ゆえ「4日間の物語」のタイトさが出ていないのも悔やまれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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