ストレンジ・ダーリン (2023):映画短評
ストレンジ・ダーリン (2023)
ライター2人の平均評価: 3.5
ちょっとした掘り出し物。音楽も良い
これはちょっとした掘り出し物かも。6章構成なのだが順番通りではなく、最初に3章、次は5章、そして1章というように進む。もちろんランダムではなく計算されており、それが観客の予想を次々に裏切っていくのだ。なんとも賢い(これを保つために監督はスタジオと戦わなければならなかったらしいが)。バイオレンスもあるものの、安易にそこを売りにするのではなく、心理的に恐怖を高めていくのも、個人的に気に入った。
ジャンルへの偏見のせいでしばしばホラーにおける演技は過小評価されがちだが、今作のウィラ・フィッツジェラルドはきっとこれでブレイクするはず。とりわけラストの車の中にシーンは目が釘付けになった。音楽も良い。
予想が次から次へと裏切られて痛快
構成に技がある。冒頭で「6部構成の物語」と宣言しておいて、その宣言はウソではないが、そこから予測するような展開にはならない。そういう仕掛けのある作品だと分かってからも、こちらの予想が次から次へと裏切られ、それが痛快。監督・脚本のJT・モルナーは本作が評価され、スティーヴン・キングの『死のロングウォーク』を映画化するフランシス・ローレンス監督の『The Long Walk』の脚本に抜擢されている。
その仕掛けに加え、赤の際立つ人工着色のような極彩色の映像、歌詞の字幕付きの1960年の名曲『ラヴ・ハーツ』のカヴァーと、独自の世界を構築。そしてタイトル通り、ストレンジなダーリンが姿を現す。