ADVERTISEMENT

果てしなきスカーレット (2025):映画短評

2025年11月21日公開 113分

果てしなきスカーレット
(C) 2025 スタジオ地図

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.8

相馬 学

死後の世界を行く姫の冒険に、描くべき今を見た!

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 過去と未来、自国と異国、現実と非現実、生と死の国が交錯するファンタジー。これまでにない細田ワールドの広がりに、まず驚かされた。

 主な舞台となる死後の世界のアドベンチャーは荒野や砂漠から人里、さらには天空へと及び、イマジネーションを刺激。そんな横糸に主人公の復讐という縦糸が結び付き、スリルを加速させる。

 セリフに盛り込まれたテーマは言葉による語り過ぎの感もないではないが、裏を返せばこれまでの細田作品の中でも、より声高に訴えるべきメッセージがあるということ。怒りに燃えた主人公の真っすぐな青い瞳に射抜かれると、そう思わざるをえない。ある意味、細田版『もののけ姫』。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

殺したい彼女と死なせたくない彼

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

キャラクターの名前を流用するぐらい「ハムレット」の主人公を女性にした物語だが、舞台のほとんどを占めるのはデンマークではなく、「死者の国」。しかも、そんな王道の復讐劇に対し、現代日本から看護師が現れることでSFファンタジー色が濃厚に。そして、現代社会に対する露骨かつ痛烈なメッセージ。あえて、難解な設定にしている感もあるが、これまで自身の経験を露骨にネタにしてきた細田守監督にとって、いろんな意味での意欲作といえるだろう。2時間弱の尺のため、テンポ良く描かれるのはいいが、「ハムレット」オマージュな前半パートに関しては、30分ぐらい長い方が濃厚な人間ドラマを描けた気も。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

細田守が描く”復讐”の在り方

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

細田守監督最新作。これまでもSFやファンタジーの色合いが濃い作品が続きましたが、今回は完全にファンタジー方向に針を振り切ました。これまでの監督作品はどこか日常と地続きな部分がありましたが、今回は16世紀のデンマークが舞台ということで、観客は開巻すぐに一気に違う世界へと連れて行かれます。この辺りは戸惑う観客もいると思いますが受け止められ方が気になる所です。作品のモチーフとしてシェイクスピアの『ハムレット』を採用しているのも面白い作りです。細田守監督の”復讐観”というものに少し触れた気がします。海外での公開も本格的に行われるとのことですがその反応も楽しみです。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

監督の志向が多数のジャンルを往還。映像は極上アートの域

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

シェイクスピア引用の愛憎・復讐の古典劇、「ロード・オブ・ザ・リング」的な冒険ファンタジー、時空を超えるSFロマンス、さらに死後の世界…と、ごった煮なジャンルを強引にブレンドした野心に感服。これまでも現実と非現実を組み合わせることに執心してきた細田監督のひとつの到達点と言っていい。
ところどころ脚本の甘さは感じられるものの、映画そのものを革新させるスピリット、そして圧巻を極めるビジュアルによって、その甘さが凌駕される。
荒野を舞う砂の濃淡、夕景のグラデーション、白い雪と黒い岩の山頂と真っ青な空のコントラストなど、シンプルな美しさ、アニメーションの極限にも挑んだテクニックで、息をのむ瞬間が何度も!

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

人気の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT