大統領暗殺裁判 16日間の真実 (2024):映画短評
ライター2人の平均評価: 4
韓国現代史ドラマ映画の新たな秀作が誕生!
1979年、軍事独裁政権下の韓国で起きた大統領暗殺事件。その首謀者らの弁護団に加わった若き弁護士を主人公に、軍部の圧力がかかった裁判の行方を描く。ちょうど『KCIA南山の部長』と『ソウルの春』の中間に位置する物語。裁判の過程も結果も史実に忠実ゆえ結末は分かりきっているのだが、そこへ架空の弁護士を投入することでエモーショナルに仕上げた脚本が見事。デモなんかで社会は変わらない、裁判は善悪じゃなくて勝敗を決める場所だ。そんな醒めた目で世界を見ていた主人公が、あらゆる卑怯な手を使って弁護側を妨害する軍部、己の信念と理想に殉じようとする被告に感化され、やがて正義感に突き動かされていく姿が感動的だ。
「クソの国」から「幸せの国」へ
韓国映画界が得意とする現代史フィクションの最新作。『KCIA 南山の部長たち』と『ソウルの春』の間にあたる、権力を持った軍部によって歪められた裁判の模様を描く。最新主演作『ゾンビになってしまった私の娘』が爆発的なヒットを記録しているチョ・ジョンソク扮する主人公の弁護士は創作されたキャラクターで、彼の人間味が物語を引っ張っていくため、見やすい作りになっている。全斗煥をモデルにした人物を演じているユ・ジェミョンのカメレオンぶりに驚いた。原題の「幸せの国」には、「クソの国」だったあの時代に学ばなければならないという監督の思いが込められているという。翻って日本はどうだ? という思いになる。



















