BAD GENIUS/バッド・ジーニアス (2024):映画短評
『ルース・エドガー』の“次”の映画として観たい
2017年のタイ映画『バッド・ジーニアス』は「アジアの今」を示す大傑作だったので、米国リメイクなんて成り立つのか?と不安だったが、実に適切な変換。オリジナルが経済成長の軋みとして表れる学歴・競争社会のプレッシャーを背景にしていたのに対し、今作はシアトル在住の中国系女子を主人公に立たせ、人種や出自の壁が立ちはだかる移民の階級闘争に仕立てた。
監督・脚本のJ・C・リー&ジュリアス・オナーは2019年の傑作『ルース・エドガー』のコンビ(監督・脚本の役回りは逆だった)で、「アメリカ的物語」への批評的視座は今回も横溢。同時にタイ版の説話構造の強さはそのまま活かし、“余計なことをしていない”のも賢い。
この短評にはネタバレを含んでいます




















